2曲目は聴けない 足も腰も怠く、到底動き回れそうもない。
無事な腕と口を動かし「思うに……」と呟く。
そこでピンクは気付いた、喉は“かろうじて”無事だ。
あんなに泣いたり叫んだりすれば、当然のように喉は枯れる。
「私が、思うに……」
掠れた声で言い直す中、情事をした相手が服を着終わる。
静かな声で返事をして、寝そべったままのピンクを見おろす。
この部屋で、このベッドで、あんなことをしたというのに。今や、彼の表情はいつものものだった。
ピンクは、自分ほど乱れなかったカエルの顔を見つめ返す。
「楽器というのは、自分が楽器だとは思っていないんだ」
思いもよらぬ言葉を聞いて、カエルは疑問符のついた返事をする。
「それはなぜだ、ピンク?」
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