跪け、と声が命令する。ルークのからだはそれに勝手に従った。はいつくばれ。お前の急所を晒せ。ぶざまに、みじめに、本能に従え。さあ喋れ。知っていることを洗いざらい吐け。
看守の重く、威圧的な視線はルークにとっては致命傷だ。それでもしらない、と絞り出す。彼のことは何も知らない。何も喋ることはない。本心からそう言う。
命令はただただ重く体にのしかかるだけで、ルークの何も満たしはしない。実際、ルークはSubであるけれど、特定のパートナーとプレイをしたことは一度もない。満たされたいと感じたことだってない。Domの命令に本能が従ったとしても、尊厳を汚すための眼光に晒されたとしても、その支配にすべてを奪われることはあり得ない。
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