青岩 夜明けが、くる。
目を覚ますとベッドの脇には誰もいなかった。覚醒した身体は気怠かったが何のことはなく、ベッドを降りて壁に嵌め込まれた窓を覗くと、とろけるような光の線が街の輪郭を縁取るのが見えた。
ほかの多くのゆる神がそうしているのと同じく、青森の寝床も青森県庁の庁舎内に神域を設けて存在している。
福島などは県庁よりも会津城に居を構えている様子だが、基本的にはみな県庁だし、そもそも――自県に居るはずだ。
寝息のするほうへ、ゆるりと視線を巡らせる。その丈では到底足り得ないだろうブランケットを被り、長い手足を縮こまらせてソファで寝入るモノがいた。
大きな図体ながらあどけない顔で静かに眠るゆる神を岩手と言った。
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