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    アイム

    @miniAyimu

    黒髪の美少年と左利きAB型イケメンお兄さんに弱い。

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    POIPOI 17

    アイム

    PAST蘭榎とソシャゲ。三浦さん、ここ押してください。
    ずいっと差し出された榎本のスマートフォンの画面には『チームメイト勧誘!』という言葉がきらびやかに踊っていた。

    一体全体何事か。一からの説明を求めると、返答は以下の通りだった。
    彼曰く、これはスマートフォン専用のゲームアプリの一種であると。
    ここ数年のゲーム業界はインターネット上の交流を通したソーシャルゲームという新たなジャンルに席巻され、またそれから発展したアプリケーションソフトウェアとしての娯楽が良くも悪くも話題になっていることは三浦もおぼろげながら知ってはいたが、まさか榎本すらも好んでプレイしていたとは思わなかった。
    しかし、それほどまでに人気があるのだろう、というよりは、これにもバスケが絡んでいるから、と言い訳する方が正しく、わざわざ起動して見せてくれたタイトル画面には、見慣れた茶色いボールが転がっていた。
    大まかな内容としては対戦型バスケアクションゲームに属するとのことで、何を言ってるんだお前は、と突っ込みたくなるのをぐっと堪えて、まだまだ続く榎本の説明に耳を傾けながら画面を覗き込む。

    とはいえ、バスケというスポーツ競技をテーマにしながらもバ 2316

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    PAST同棲したい蘭榎。十五歳なんて、ほんの子供だった。背ばかりが三浦よりも大きくて。やたらと強気で自信家で、言うことも大きくて生意気で。榎本という後輩は、とんでもないクソガキだった。遠慮のない物言いで年上にも同級生にも突っかかって行って、真面目で必死で、でも不器用でビビリで、笑ったり喜んだりという姿はあまり見せてくれなかった。
    だからあの頃、十七歳の三浦は、十五歳の榎本のことを心配していた。彼だけを変に意識して、声をかけて、背中を押して。珍しいことだ、と自分でもわかっていた。そしてそれは、夏が終わって部活を引退してからも続いていたのだから、更に驚く。彼の昼練を見守って、放課後の部活にもちょくちょく顔を出して、練習試合があると聞けば朝から見に行って。一度、テスト期間中に、勉強を教えるために自宅に呼んだこともある。当然、藤原たちからは、随分と可愛がっているんだな、と突っ込まれた。母からも、まるで弟が出来たみたいね、と笑われた。
    しかし三浦にとって不思議だったのは、やたらと彼の世話を焼きたがる自分のことではなくて、あの榎本がそれらを素直に受け入れていることだった。偉そうなことを言ったり、反発することも度々あったけ 1265

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    PAST同棲してる蘭榎。煙草の匂いがする。最初に気が付いたのは、それだ。次が、榎本の髪を撫でる感触。誰よりも、榎本の家族よりも、彼を子供扱いする手。高校の時から染めっぱなしで相当傷んでいる茶色の髪を、指先がゆっくりと、飽きもせずに何度も辿る。
    その穏やかさの中でまた眠ってしまいそうになるのを我慢し、榎本は無理に目を開けた。部屋は暗い。すぐ傍に人影があるのが、かろうじてわかる程度。ベッドに深く沈み込んでいた榎本の鼻先に、シャツを羽織った背中があった。三浦さん、と頭の中で反射的に呼ぶ。口から出たのは、別の呼び名だった。
    「らんまるさん」
    声は掠れていたが、彼にはちゃんと届いたらしい。手が止まって、顔だけがこちらを見下ろす。
    「起こした?」
    首を振ったつもりで、顔だけを動かした。直後に、吐息だけで笑う声がする。三浦が、榎本の前でよくする笑い方だった。
    榎本は半身を起こす。たったそれだけを億劫に感じるほど、身体がだるかった。特に腰の辺りが重く、足の間は未だひりひりと熱いような気がした。
    眠り込んでしまう前に何をしていたかを頭に蘇らせて、あぁ、と声を上げたいような気分になる。既に何度目かの行為であるというのに、榎本は未 978