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    アイム

    @miniAyimu

    黒髪の美少年と左利きAB型イケメンお兄さんに弱い。

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    アイム

    DONE犬飼先輩が喫煙してる犬辻。犬飼先輩は、大学生になって早々に煙草を吸い始めた。

    「……先輩、まだ未成年ですよね?」
    「やだな~辻ちゃん、おれこないだ誕生日だったじゃん」
    「いや……それでもまだ十九歳ですよね」

    成人した証拠も無いのに一体どうやって買ってるんだ、という疑問はきっとこの人には通用しないのだろう。
    不真面目な未成年の代わりに手に入れてくれる不道徳な知り合いがごろごろいるに決まっている。
    事実、俺が吸い始めたことに気付いて一週間も経たない内に、それまで使っていた蛍光色の安っぽいライターすら銀色の重たくて立派なものに変わっていて、何ですかコレとツッコめば、ただ一言、『もらった』とだけ返された。
    それが犬飼先輩にとっての当たり前であるかのように。

    犬飼先輩は市立大学への進学が確定するのとほとんど同時に春からの住居先を探し出し、二月の末にはもうすっかり荷物の移動までを済ませていた。
    進学をきっかけに一人暮らしを始める学生たちは他に多数いたけれど、誰よりも素早い行動だったことだろう。
    それを、本人だけがすっきりしたような晴れやかな顔。
    姉ちゃんたちのことは嫌いじゃないけど、でもやっぱ弟ってキュークツなものだ 2850

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    PAST鶴獅子のあられもない話。by2016年「どうかしたのか、小狐丸」
    「……尻が痛い」
    「なんでまた尻なんか。転んだのか?」
    「昨夜、尻の穴にぶち込まれてヒンヒン言わされたんじゃ。察しろ」
    「わかるか、んなもん」

    という小狐丸とのあられもない会話の途中で、獅子王はひょいっと宙に浮いた。
    否、浮いたのではなく、抱えられて持ち上げられた、と表すのが正しい。
    すわ何事かと思えば、いつの間にやら二人の間に鶴丸国永が割り込んでいて、まるで横取りでもするかのように自分を抱き込んでいるのであった。
    顔をしかめて、まるで睨んでいるかのよう。

    珍しい、と獅子王は驚きのあまり非常にドキドキし始めた。
    普段の温厚篤実・余裕綽々といった様子とは真逆の自分本位なその行動から察するに、どうやら彼は腹を立てているらしい。
    有無を言わせぬ厳しい声で、ぴしゃりと言い放つ。
    「獅子王にそういう話をするのは、やめてくれないか」

    小狐丸の話は、それで仕舞いだ。
    鶴丸は、言うが早いか、獅子王を抱え上げたまま部屋を飛び出し、あっという間に離れたところに位置する彼の私室へと運び込んでしまう。
    ぴしゃんと戸も閉められた。
    二人きりで向かい合い、まず強要されたのは正座。 3584

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    PAST鶴獅子のさみしい話。by2015年彼の子はきらびやかな見目をしていると日頃常々思っている鶴丸国永であったが、そういう勝手な主観はさて置いても、正しい事実としてあれは宝物として存在している子なのだなと感じた。
    ふと視線を投げた先は庭である。そこは朝食前に通りがかった時と何ら変わりないように思えたが、よく見れば淡い色味が一つ二つ増えていて、そのせいで瞬間的に目を奪われて釘付けとされてしまった。
    実のところ屋敷の庭は、元は殺風景であったところに管理者である主が気紛れ一つで種を埋め苗を植え、どこからともなく樹木まで連れて来たため、様々な植物が渾然一体となっている。それを目の保養だと酒の杯を掲げる者もいれば、ちょっと喧しいなと眉を顰める者もいるのだから、楽しめるかどうかは受け取り手によるだろう。鶴丸は季節によってどちらもの感想も抱いていた。

    夏のこの時期は縁側から身を乗り出した先の近いところで朝顔が育てられていた。あちこちに突き立てられた添え木の背丈を追い越すほどツルは長く高く伸び、重なり合った大振りの葉は辺りをむせ返るような緑一色に染め上げる。そんな中でぽつぽつと青や紫、桃色が鮮やかに花開いたのは、今朝方ようやくのことだった 3170

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    PAST蘭榎とソシャゲ。三浦さん、ここ押してください。
    ずいっと差し出された榎本のスマートフォンの画面には『チームメイト勧誘!』という言葉がきらびやかに踊っていた。

    一体全体何事か。一からの説明を求めると、返答は以下の通りだった。
    彼曰く、これはスマートフォン専用のゲームアプリの一種であると。
    ここ数年のゲーム業界はインターネット上の交流を通したソーシャルゲームという新たなジャンルに席巻され、またそれから発展したアプリケーションソフトウェアとしての娯楽が良くも悪くも話題になっていることは三浦もおぼろげながら知ってはいたが、まさか榎本すらも好んでプレイしていたとは思わなかった。
    しかし、それほどまでに人気があるのだろう、というよりは、これにもバスケが絡んでいるから、と言い訳する方が正しく、わざわざ起動して見せてくれたタイトル画面には、見慣れた茶色いボールが転がっていた。
    大まかな内容としては対戦型バスケアクションゲームに属するとのことで、何を言ってるんだお前は、と突っ込みたくなるのをぐっと堪えて、まだまだ続く榎本の説明に耳を傾けながら画面を覗き込む。

    とはいえ、バスケというスポーツ競技をテーマにしながらもバ 2316

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    PAST雰囲気の暗い鶴獅子。by2015年。拝啓、じっちゃん。
    お元気ですか。俺は少し元気です。
    この間、今の主から人間は死んだら天国か地獄に行くのだと教えてもらいました。だからじっちゃんは天国にいるんだと俺は思っています。
    そっちは楽しいですか。淋しくないですか。俺がいなくて淋しいといいな、と俺は願っています。

    どうして突然こんな手紙を書き始めたのかというと、なんと俺は先日、鶴丸国永という同じ刀の一人から、愛の告白を受けました。
    鶴丸は他人を驚かせることが好きな人で、今まで何度もからかわれて遊ばれたことがあったから、だから俺はいつもの冗談だと思ったんだけど、どうやら冗談ではなくて本当だったらしい。
    あれは真夜中のことで、俺がふと目を覚ましたら隣の布団で寝ているはずの鶴丸が起きていて、眠れないと言うので、気分転換に少し散歩に誘って外へ出たら、その時に言われました。
    鶴丸は、夏の風みたいな爽やかで軽やかな声をしていて、俺はそれをすごく気に入っているんだけど、この時は初めて聞く抑揚の無い声で『獅子王は、ずるい』と俺に言いました。

    実は、俺は誰かからじっちゃんのことを聞かれるのがどうしても嫌なので、俺も誰かに前の主の話を聞こうとは 2810

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    PAST茅ヶ崎くん誕生日の至真。by2017年今年の四月二十四日は至にとって、学生の頃に大ハマリしたとあるゲームソフトが数年の時を経て復刻する日であった。

    「システムに凝り過ぎてパラメーター確認するのすら手間取ったんだよ……RPGなのに謎解き要素が本格的で全然進めねえし……あと主人公がめちゃくちゃチートで、装備選び間違えるとむしろ数値下がるから使えねーのなんのって……」
    「超絶クソゲーじゃないっすか」
    「クソゲーもクソゲーよ、初期装備でラスボス戦まで行けんだから。……なんであんなにやり込んだのかなぁ。全米が泣いたレベルの感動ストーリーっていう触れ込みだったのに、最初から最後までぶっ通しで笑い続けてた覚えしかねーわ俺」

    思い出というものにはひどい補正がかかるせいか、数年ぶりに振り返ってみても、うっかり失笑が零れてしまう。
    今まさに興奮しながらドハマリしているネトゲもソシャゲも山ほどあるというのに、それでも、再び発売すると聞いたら注目せずにはいられない。
    普段のような言葉を選ばない暴言、と呼ぶにはあまりにも情の満ち満ちたゲーム批評に、隣で同じくゲームに興じていた万里がちらりと視線を寄越してくる。

    「……んじゃ、至さんの誕プレ候補 3007

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    PAST同棲したい蘭榎。十五歳なんて、ほんの子供だった。背ばかりが三浦よりも大きくて。やたらと強気で自信家で、言うことも大きくて生意気で。榎本という後輩は、とんでもないクソガキだった。遠慮のない物言いで年上にも同級生にも突っかかって行って、真面目で必死で、でも不器用でビビリで、笑ったり喜んだりという姿はあまり見せてくれなかった。
    だからあの頃、十七歳の三浦は、十五歳の榎本のことを心配していた。彼だけを変に意識して、声をかけて、背中を押して。珍しいことだ、と自分でもわかっていた。そしてそれは、夏が終わって部活を引退してからも続いていたのだから、更に驚く。彼の昼練を見守って、放課後の部活にもちょくちょく顔を出して、練習試合があると聞けば朝から見に行って。一度、テスト期間中に、勉強を教えるために自宅に呼んだこともある。当然、藤原たちからは、随分と可愛がっているんだな、と突っ込まれた。母からも、まるで弟が出来たみたいね、と笑われた。
    しかし三浦にとって不思議だったのは、やたらと彼の世話を焼きたがる自分のことではなくて、あの榎本がそれらを素直に受け入れていることだった。偉そうなことを言ったり、反発することも度々あったけ 1265

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    PAST同棲してる蘭榎。煙草の匂いがする。最初に気が付いたのは、それだ。次が、榎本の髪を撫でる感触。誰よりも、榎本の家族よりも、彼を子供扱いする手。高校の時から染めっぱなしで相当傷んでいる茶色の髪を、指先がゆっくりと、飽きもせずに何度も辿る。
    その穏やかさの中でまた眠ってしまいそうになるのを我慢し、榎本は無理に目を開けた。部屋は暗い。すぐ傍に人影があるのが、かろうじてわかる程度。ベッドに深く沈み込んでいた榎本の鼻先に、シャツを羽織った背中があった。三浦さん、と頭の中で反射的に呼ぶ。口から出たのは、別の呼び名だった。
    「らんまるさん」
    声は掠れていたが、彼にはちゃんと届いたらしい。手が止まって、顔だけがこちらを見下ろす。
    「起こした?」
    首を振ったつもりで、顔だけを動かした。直後に、吐息だけで笑う声がする。三浦が、榎本の前でよくする笑い方だった。
    榎本は半身を起こす。たったそれだけを億劫に感じるほど、身体がだるかった。特に腰の辺りが重く、足の間は未だひりひりと熱いような気がした。
    眠り込んでしまう前に何をしていたかを頭に蘇らせて、あぁ、と声を上げたいような気分になる。既に何度目かの行為であるというのに、榎本は未 978

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    DOODLE鳩原先輩の失踪をきっかけに、もしかしたら次は犬飼先輩かもしれない……という疑心暗鬼に捕らわれたために二宮さんが一人暮らししているマンションに逃げ込むようになった辻ちゃんと、二宮さんにそれを聞かされ『二人でナニしてるんですか!?』と動揺せずにいられない犬飼先輩の犬飼side(犬辻)月に一度のペースで辻がうちに泊まりに来る。
    と二宮さんにカミングアウトされた時のおれの気持ちがわかるだろうか。

    衝撃のあまり頭は真っ白になり、どうしてそんな告白が飛び出たのかという直前までの話すら吹き飛んで忘れてしまうほどだった。
    そのくせ口だけは普段通りにぺらぺらとよく回る。矢継ぎ早に問い質さずにはいられなかった。

    毎月泊まってるんですか?
    そうだな。
    二宮さんが一人暮らししてるマンションの方ですよね?
    あぁ。
    どっどこで寝てるんですか、辻ちゃんは。
    辻が床でいいと言い張るから、家で使っていない布団を引き取ってある。
    二宮さんって太刀川さんとか泊めるの嫌がってませんでしたっけ。
    当然だ。太刀川と辻を一緒にするな。

    突っ込めば突っ込むほどに、嘘みたいな話は真実味を増してゆく。
    まさかあの辻ちゃんが二宮さんにそんな甘え方をするとは、と驚けばいいのか、それとも、あの二宮さんがそこまで辻ちゃんに優しかったなんて、と驚くべきなのか。
    動揺一つ抑え込めずに、引っくり返った声のまま尚のこと訊いてしまう。
    「いつから二人でそんなことしてるんですか。おれ初めて聞きましたよ、辻ちゃんが二宮さんとこ 3744