「あれ? リカオちん?」
その声は、雨音を乗り越えしっかりとリカオの鼓膜を揺らした。音の方へ目を向ければ、コンビニの軒下に佇む見慣れた姿。
「ジャロップ……? どうした、寄り道か?…です。」
「そ! オレィ今日傘忘れちゃったからさ〜、雨宿りついでに買い物してたんだー♪」
急に降るんだもんびっくりしたじゃんねー、なんて言いながら、ジャロップは楽しそうに新品のビニール傘を広げる。
彼は当たり前のようにリカオの隣に並んで、リカオもまた当たり前のように歩く速度をすこし落とした。
「すぐ止むと思ったのに全然止まなくてさウケる〜」
「この時期の雨は予測がつきにくいからな…です。」
「あっ、そうだリカオちん」
「ん? なんだ…です。」
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