薔薇でできた赤の女王様────────
街を見下ろすようにそびえる城に住む、蛇のように鋭く冷たい赤の女王の体は薔薇でできていて、その体に流れるのは花びらの形を成す血液。
その髪は咲き誇る紅の色で、その舌で紡がれる言葉は棘。
しなやかながらも力強い立ち姿は、見るものを魅了してやまない美しいひと。
でもそんな女王はだれにも愛してもらえないから、今にも枯れてしまいそう。
その姿に魅了されたものは女王に心酔し、崇拝のこころを貰って生きていたけれど、悪辣ささえ美しかったけれど、怖くて強い女王からみんな離れていってしまった。
女王はもうひとりぼっち。
薔薇は、ひとりでは咲けません。
肥料を、水を。愛情を与えてくれる人がいなければ、枯れてしまいます。
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