無題星奏館のブックルームは、寮の施設のひとつにしては多種多様な本が室内に所狭しと並んでいる。初めて見た時、この中にどれだけ私の知らない知識や物語があるのだろうと胸を躍らせた。
寮へと移ってから暫く合間を見ては通い詰め、はじめは自身の趣味・好奇心の向くまま手に取って、一日中読み耽る日もあった。今まであまり目にすることのなかった娯楽漫画を、ジュンと読むことも増えた。(このことに関しては、茨があんまりいい顔をしないけれど)
利用する回数も増えていき、私の知識や好奇心はどんどん深まって広がっていくことを留めず、足繁く通わせる。
そんな折、ふと仕事に必要な雑学の資料もあると知るとそれがEdenの…茨の、役に立った。話すと驚きと感謝を茨から向けられた時、私は嬉しい、また喜んでほしいと自分の中に芽生えたささやかを胸に、新しく探してはそれを題材にし茨と交わす言葉と過ごす時間が増えていった。
4645