メラムギ3ワンドロお題「ぽかぽか」(サボル)ようやく家に帰りついた時には、とうに日付が変わっていた。
今日も間に合わなかったか、と零れたため息が、白い息に変わってそっと押したドアノブにかかる。
全ては、来週のクリスマスに合わせて休みをもぎ取り忘年会も不参加とするため。同じ大学でつるんでいた仲間たちの話を聞けば、既婚者でもなくましてや入社一年目のサボが学生時代と同じくその意思を貫けたことに驚かれたが、良くも悪くも実力主義の会社だったことが幸いした。
――とはいえ、こんな時刻の帰宅が2週間近く続いていれば、ほんの少し、先月の自分の決意に文句をつけたくなる。朝も夜もこんなふうに過ごさなければならないと知っていたら多少の譲歩くらい――。
ああ、顔が見たい。
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