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    とーい

    @utugixt

    👒受すきな🐸。小話ばかり。時々🥗👒ちゃんも

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    とーい

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    メラムギ3せめてワンドロだけでも参加させていただきたい……!てことで、短いですがサボル妄想で参加させていただきます。

    ##メラムギ3
    ##サボル

    メラムギ3ワンドロお題「ぽかぽか」(サボル)ようやく家に帰りついた時には、とうに日付が変わっていた。
    今日も間に合わなかったか、と零れたため息が、白い息に変わってそっと押したドアノブにかかる。
    全ては、来週のクリスマスに合わせて休みをもぎ取り忘年会も不参加とするため。同じ大学でつるんでいた仲間たちの話を聞けば、既婚者でもなくましてや入社一年目のサボが学生時代と同じくその意思を貫けたことに驚かれたが、良くも悪くも実力主義の会社だったことが幸いした。
    ――とはいえ、こんな時刻の帰宅が2週間近く続いていれば、ほんの少し、先月の自分の決意に文句をつけたくなる。朝も夜もこんなふうに過ごさなければならないと知っていたら多少の譲歩くらい――。

    ああ、顔が見たい。

    鍵が開いた硬い音にはっと我に返ったサボは、脳裏に浮かんだ願望を振るい落とそうと軽く頭を振った。それでも、漏れ出てしまった感情は簡単に抑え込めない。
    このまま扉を開ければ、我慢できずに寝室までまっすぐ向かい、起こしてしまうかもなんて躊躇せず、ほのかに色づいているであろう柔らかな頬にキスを落としてしまうだろう。それだけで終わればいいが、きっと。
    「……はぁー……」
    冷え切った扉に額をつけ、凍えた空気を深く吸い込み、はく。一度、二度と繰り返せば、熱が奪われる。
    これで今夜もシャワーを済ませたらさっさと自分のベッドにもぐりこめる、はずだ。
    脳裏に描いたカレンダーに罰をつけ、もう少しの辛抱だと強く自分に言い聞かせたサボは、再びドアノブに手をかけた。
    けれど、サボが手を動かす前に、細い光が足元に落ちた。
    「……おかえり」
    ぽかん、と見返している間に、あたたかな手によって部屋の内に引き込まれる。
    「なにしてたんだ?……すっげェ冷たくなってるぞ」
    久しぶりにまともに見た弟の顔に、まだぼんやりとしていたサボの首からマフラーを抜き取ろうとした手が、頬に触れた。ほんの少し拗ねたような口調で咎められたかと思えば、唇を尖らせてコートの前を開けたルフィが突然胸に飛び込んでくる。
    冷え切ったスーツとシャツごしでも、すり、と寄せられた頬の感覚が伝わってきた。
    たったそれだけで、ぽう、と小さなぬくもりが内に灯った気がする。
    いくら約束を守るためだといっても、無理やり気持ちを抑えることなんてなかった、と反省したサボは、去年のクリスマスに贈ったもこもこ羊に包まれた体に腕を回した。
    「ごめん……それに、ただいま」
    「ん――おかえり、サボ」
    触れ合うだけの、はじめてのそれより軽いキス。
    たったそれだけで、体にも心にも、じんわりとぬくもりが広がっていくような気がした。
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    とーい

    DONEサンルの日に合わせてもうそうしたいちゃいちゃサンル。🕒さんとの経験で体は動くけど、知識としては浅い👒くんが可愛いなと思って妄想した、煙草の味のキスの話。
    煙草の匂い/キスの味「っ、!」
    梯子を上り展望台へ上がろうとしたちょうどその時、ひょいとルフィの顔が現れ、危うくぶつかりそうになる。それでも、体と、腕にぶら下げていた包みにさっと伸ばされた手に引き上げられて、どちらも落ちずに済んだ。
    最初に礼を言うべきだろうが、せっかく作ってきた朝食が台無しになるところだった。こつん、と軽く拳を額にぶつけて「あぶねェだろうが」と文句を言えば、少しも悪びれない笑みが帰ってくる。
    「だって、朝メシのいい匂いと、サンジのにおいがしたからな!」
    さっそく包みを開け、ハムとチーズのサンドイッチを一口で飲み込んだルフィの言葉に、ぎくりと体を強張らせたサンジはさりげなく顔を傾け体臭を確かめた。
    最初に感じたのは、朝食用のオムレツに使ったバターやサラダをあえたドレッシングの香り。そして、微かに煙草の匂い。ルフィのために作った朝食を包みながら一服したそれは、先日立ち寄った島で唯一買えたもの。いつもの銘柄に一番近いものを選んだつもりだったが、少し、癖が強い。
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    とーい

    DONE1日1ロールタグ五周年とハピエンロルのコラボ企画用作品。
    お題が「夏の花とロール」とのことだったので、いろいろ調べてみてクレオメという花で書いてみました。密かに両片想いなロールです。話に出てくる花は、物語のなかで実際の花とは少し違う不思議な花として描写しています。
    宵に舞う蝶の秘密 そろそろか、とグラスを置き視線を動かしたローに、ルフィもスプーンを動かしていた手を止めた。
    上陸するときは目を開けていられないくらい眩しかった太陽も、この島で一番うまい食事を出すと連れてこられた宿の一階にあるレストランで飲み食いしている間に、水平線へとその緋色の体を沈めようとしていた。
     ただ、ローがそろそろだといったのは、何も活動しやすい時間になったという理由だけではない。風を取り入れるために開け放たれた窓の下に視線を向ければ、色合いを変えた街のなかを歩く人々が同じ方角に歩いているのが見える。目深にかぶった濃紺のローブも、手に掲げた小さなランタンも同じものだ。
     行くか、とたちあがったローの手にも、小島に入る際に火を入れると説明されたそれがある。もう一方の手を差し出されたルフィは、これから始まるという祭りに胸を躍らせながら、麦わら帽子の上からローブをかぶせ、その手を取った。
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