ひなあん
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時計の針が、一周。また一周。
何も考えずにふと視線を上に向けて。こうやって針が動くのを、見ている。
同じ速度でゆっくりと。心が落ち着くような、苛立つような。
ああ、どうしてずっと動いていられるのだろう。歯車が少しでもズレたら、この空間は少しズレた時刻を受け入れて過ごしている人でいっぱいになってしまうのに。あなたが間違えばみんな巻き添えを喰らうんだよ。
誰かが正しい時刻を知ったとしても。責められるのは信じた人々じゃなくてあなたなんだ。さっきまでは頼もしそうに、縋る目を向けられていたのにね。
でもね。かわいそうだとは思わないよ。だってそれが当たり前なんだもん。
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