『続・僕のサンタ』 和久井譲介は32歳。
けれどいまだにサンタが来る。
メリークリスマスを交わすはずだった人に代わって隣に寝そべる箱を摑み、リビングへ。休暇の朝、ベッドに譲介を置き去りにした家族の気配は、まずコーヒーのくすぐりに現れた。空腹にカフェインを入れるなとあれほど言ってるのに。鼻に香りは心地よけれど、腹に入れば搔き乱す。デカフェなら構わねえだろ?と“譲歩”を口にしながら、言ったっきりの男の口先に、向かうカップの把手を譲介はむんずと摑んだ。把手を使わずカップのふちを摘んで持つ癖にこそ為し得る妨害。睨んで凄む顔面に、潑溂たる笑みを振るまった。
「おはようございますサンタさん。今年もプレゼントをありがとうございました」
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