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    ザリガニ見習

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    DONE【譲テツ】サンタさんからプレゼントを貰っちゃって焦る譲介(高1)と、子どもに伝承される「サンタさん」という夢の話。20231226
    『僕のサンタ』 ポイントは目に涙をためること。
     さも「事実」を知って傷ついた子どものふりをする事だ。
     僕たちには親がいないからサンタさんも来ないんですよね、だって、サンタさんの正体は、
     親の成りすましだと暴くもよし。言葉を濁すもよし。養護施設の職員をまごつかせる遊びだった。サンタクロースを信じる子どもが職員にまとわりついている時を狙う。眼を張り、耳を傾け、大人の機嫌を乗りこなす正しい方法を懸命に探りながら、大人の語る欺瞞ゆめを信じて握る小さな手。その矛盾に譲介は耐えられなかった。期待は裏切られるために在る。早く「真実」を知るべきなのだ。
     だから今年も譲介は、目覚めのプレゼントを投下した。

     高校入学前に移った施設の食堂で、くしゃくしゃのピンク色の画用紙を譲介は拾った。引き裂かれ、棚の裏に隠された悪意の花びらを案内の職員に渡す。ひどいやつがいますねと眉をひそめて見せた。みつけてくれてありがとうと顎の位置で髪を切り揃えた職員は微笑んだ。こちらに同調して世話してるガキ共を腐さなかったなと譲介は胸中に記録した。
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    DOODLE【譲テツ】同居時代にソファに並んでピザ食ってる譲介とTETSUの小話。体裁を整えた作文ではないので読みづらいです。20230401
    『TETSUとピザ』 誰からの便りも送られてこない二人のおうちのポストを、普段の“仕事”として覗いた譲介がピザの広告を発見。ちょうど家主不在時でもあったのでカレー味のピザを頼む。生地の耳にソーセージも入れちゃう。やがてインターホンが夕飯の到着を告げる。オートロックを解除して玄関で待機していると、外から聞き慣れた杖の音が耳に届いた。和久井さんですか?と初めて聞く声が尋ね、聞き慣れた声がそうだと応じる。配達と帰宅が重なったのだ。開けるに開けられなくなったドアが向こう側から叩かれる。この場にいなかったふりは通じないだろう。いま開けますと大きく返事をして鍵と鎖を外せば、玄関扉は恭しく主人の帰還を迎えいれた。
     片手に杖、片手に八角形の平たい箱を抱えたTETSUの前に、靴を脱ぐに使う腰掛けを用意する。椅子を放した両手は、ほらよと渡された箱で満たされた。ほかほかだった。すんなり引き渡されたことに驚き、却って言葉に詰まる。座って屈んだ背中に、お金を、と声をしぼり出す。もう片方の靴に取りかかり、振り向かぬ背中が坦々と、てめぇの食費はもともとオレ持ちだ。杖を支えに膝が立つ。仕事を果たした椅子を廊下の隅へ。それからTETSUは洗面所に。譲介はドアを開け放ったままリビングのテーブルにピザを置き、蓋を開け、ほのかに立ち昇る熱を嗅いで、ようやくピザが一枚しかない事実に気がついた。それもMサイズである。生地のふちに包み込まれたソーセージがカロリーを補うと言えど、はたして自分より体格のいい大人が半分で間に合うだろうか?
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