二十四節季「立春」自然に目が覚めることの幸福感は何物にも代えがたく、休日の幕開けに一等相応しい充実した気持ちにさせられた。朝九時を指す時計を寝ぼけ眼で確認した七海は、今日が休日で、それも確実に緊急連絡の来ない日であることを思い出し、ゆったり気分で頭を枕へと預け直した。
それから約二十分後に目を覚ますあたり、職場は違えど会社員としての生態が身体の芯まで染みついていると言えよう。休日くらいなにも気にせず、昼までだらだら寝ていればいいのに、どうしても眼が冴えてしまう自分に苦い笑いを浮かべつつ。七海は大きく伸びをしながら上半身をたてた。
寝室のカーテンはあえて薄いもの、陽の光を通しやすい素材を選んである。休日に陽の光を感じて起きる、今日のような朝をまさしくの健康と捉えているからだ。
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