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    choko_bonbon

    @choko_bonbon

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    choko_bonbon

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    2月3日は 立春 です
    暦の上では今日から春。
    穏やかな暖かい日が続くことを願います。
    春眠暁を何とやらと申しますが、ななみさんは会社勤めの経験によってすぐ目を覚ましてしまうそうな。
    しかして今日はベッドに一人、恋人は京都のご実家に居るそうで……

    節分について壮大な二次創作設定を含みます!

    ##二十四節気57

    二十四節季「立春」自然に目が覚めることの幸福感は何物にも代えがたく、休日の幕開けに一等相応しい充実した気持ちにさせられた。朝九時を指す時計を寝ぼけ眼で確認した七海は、今日が休日で、それも確実に緊急連絡の来ない日であることを思い出し、ゆったり気分で頭を枕へと預け直した。
    それから約二十分後に目を覚ますあたり、職場は違えど会社員としての生態が身体の芯まで染みついていると言えよう。休日くらいなにも気にせず、昼までだらだら寝ていればいいのに、どうしても眼が冴えてしまう自分に苦い笑いを浮かべつつ。七海は大きく伸びをしながら上半身をたてた。
    寝室のカーテンはあえて薄いもの、陽の光を通しやすい素材を選んである。休日に陽の光を感じて起きる、今日のような朝をまさしくの健康と捉えているからだ。
    「連絡は……五条さんからだけ、と」
    ベッドサイドに置いていた、プライベート携帯と社用携帯のそれぞれを確認してみて、プライベートのほうにいくつかの連絡が。それはいつも隣で、枕か七海を、またはその両方を長く太い腕で抱き締め寝入っているはずの男、五条からのものだ。
    『せっかくの休みなのに、七海と離ればなれなの寂しい』
    おはよう、という挨拶のあとに早速と続くメッセージには、ついつい頬が緩んだ。最強である人間が、自分のような男一人へ必死に愛を語り、弱い部分を言葉にしてくれることを七海は光栄に思う。
    「私も寂しいものですが、アナタのおかげもあって得られた休みですからね。私が我儘を言うべきではないのでしょう」
    返信は後で、落ち着いてからにしようと考え、七海はまずベッドを抜け出してキッチンに向かう。ケトルに水を入れて火にかけ、湯が沸くのを待つ間に顔を洗い、休みとあって一瞬だけ迷うも髭を剃る。パジャマを脱いで着替えるのはラフな部屋着へ、そこまでしてキッチンに戻ると、ケトルはシュンシュンと湯気を吐き出していた。
    五条がいるとミルクを用意するコーヒーも、今日はブラックを一杯だけ。
    そこに寂しさがあれば、少しの解放感もある。一人きりの休日も、たまにはいいもので。
    さて、ようやく、一日とおして留守にする五条へと、コーヒーをひと口飲んでから返事の言葉を考えた。
    あまり自分の感情へ素直になって『私も寂しい』などと彼に送ってしまったが最後、七海には甘えん坊を公言する五条のことだ。どんな手を使ってでも帰ってくるだろう。もしくは七海を五条の元へ呼びつけようとする。
    それはダメだ。
    であるから、ここは冷静に。
    まるでコーヒーのようにほろ苦い、大人の返信を心がける方がいい。
    ――お疲れ様です。そちらの様子はどうですか。アナタが帰ってきたら美味しいものが食べられるよう準備しておきますから、しっかり仕事を終えてきてくださいね。
    と、ここまでを長々考え、実際に送ってみて。
    しゅぽん。
    「えっ」
    すぐにも返事が届き、口に含みかけたコーヒーが唇から僅かに逃げてしまった。
    「さては私が起きるのを待っていた、とか?」
    彼ならばあり得ることだから恐ろしい。この家で共に暮らして半年が経った頃には、七海の日々のルーティン、時間割りを、ほぼ完璧に理解した男が五条だ。休日の起床時間なんて簡単に予想がついたことだろう。
    そんな彼からの返信はというと。
    『会いたい。京都まで来て』
    などと予想どおりのメッセージ。
    ――無理なのはわかっているでしょう。きちんと仕事をしてください。
    いまは大変便利な世の中である。五条がメッセージを目にしたマークが、七海の送ったメッセージの上に現れ、またすぐ返信が届く。
    『わかってるけど、会いたい、顔が見たい』
    ダメとわかっていても言いたくなる気持ちはよくわかる。
    しかし、今日に限っては無理な話。
    と、ここで、手の中にあった携帯が小刻みに震え出した。着信だ。
    「もしもし」
    『おはよう七海。さて……迎えを行かせるか、新幹線のチケットを送るか、七海はどっちがいいかな?』
    「ダメですってば。アナタはいいでしょうけれど、五条家に迷惑をかけた七海という男の噂が呪術界で流れるに決まっています」
    『えぇ~? 五条の坊ちゃんは、恋人の応援もあって重要な仕事を難なくこなしてくれて助かりました、ってならわかるけど。変な噂なんて流れないよ、こと丁寧な仕事が常のオマエに限ってはね』
    「ご当主様が全責任を取ってくださる約束があれば……来年また考えます」
    『おっ! 七海は僕をその気にさせるのが得意だねえ』
    彼が元気そうで気が緩み、うっかり変な提案をしてしまう。とはいえ彼も大人だ。そのあたりは冗談と捉えてくれている……と思いたい。
    「それより、今年の豆撒きの調子はどうでしたか」
    『それは君たち呪術師が一番わかってるんじゃない? きっと、昨日と今日とは街が綺麗に見えたはずだよ』
    「たしかに歩きやすくて助かりました」
    そもそもの話。
    七海ほどの呪術師に緊急の呼び出しが『絶対にない』と言い切れることと、五条がここに居ない理由は同じである。
    昨日、節分に併せて五条の本家では、当主を主役として儀式が執り行われたためだ。儀式と言っても堅苦しいそれでなく、全国どの家庭でも行われただろう節分に関する一大イベント、豆撒き、である。とはいえ執り行うのが五条家、呪術界最強の男を主役に立ててのことになると、その規模や神格化は避けられず、五条家総出で執り行われた豆撒きのおかげで、七海を含めた呪術師たちは休日と相成った。
    なにせこの豆撒きという行為が、そのもの魔を祓うための儀式。それを五条家が、加えて各家庭で多くの人間がこぞって行ったとなると、呪霊たちは黙るほかないわけで。
    「アナタのおかげで日々、この日本は守られています。昨日はとくにそうでしたね。今日も、まさしく立春大吉の言葉がふさわしい晴れ模様です」
    『でしょ? ほんと、崇め奉ってほしいくらいだね』
    わははと快活に笑う五条のおかげで冗談めかされたが本当のことだ。七海が心から礼を告げると、うん、とちいさく照れた返事が聞けた。
    『もうすこしこっちで仕事したら急いで帰るからさ、夜からは二人っきりで過ごしたいな』
    「いちにち遅れですが恵方巻を用意しますから、二人で食べましょう」
    『いいね、いいね。最近は恵方ロールとか言って、恵方巻代わりにロールケーキを売ってるところもあるっていうから……今からでも探しちゃおっかな』
    「それならわざわざ探さずとも、もう冷蔵庫にありますよ」
    『うっそ! マジ? やった! え~……十七時の新幹線では帰りたいな、いや、帰る!』
    きゃあと子供のような歓喜の悲鳴が電話越しに聞けたとなると、ひと月前にはケーキ屋に電話予約を入れ、仕事帰りには家族連れに混ざってケーキ屋へ赴いた甲斐があったというもの。こういった際に図らずも大きくなる期待を、軽々超えた大喜びを披露してくれる五条が愛おしい。
    「アナタの帰りをみんな待っていますよ」
    『みんなって、七海以外に誰がいんの?』
    「それは、恵方巻と恵方ロールのふたりですね」
    『七海と恵方巻と恵方ロールの三人か。最高だね、オッケー! じゃ、このあとのお習字も頑張ってくるわ』
    お習字とは、などと言い出したら話が終わらなさそうで。彼の帰りを早くしたいのであればそろそろ本家の儀式に戻ってもらわねば。そうして通話を切り上げようとする七海だが、はたと、寝る前に頭に浮かんでいた考えが蘇る。
    『それじゃあまたあとで、
    「五条さん、ひとつお願いが!」
    息せききった勢いに、五条がぐっと詰まる気配がした。少し恥ずかしくなったが、ええいままよと七海は言葉を続ける。
    「アナタのいまの服装を教えてもらえませんか」
    『え? 服装? あ~……ええっと……和服っていうか、まあ、正装って感じ、だね? それがどしたの?』
    「そうですか、では、その姿のアナタの写真を、何枚か送っていただいてもいいでしょうか」
    電話の向こうから困惑が伝わってくる。
    釣られて困惑と羞恥がこちらにもやってきたが、黙って返事を待った。
    『まぁ、いいけどぉ……そんなに格好良くないから、期待はしないでね? それと、いまの七海の写真も送ってくれること!』
    吐き捨てるように五条が言って直後、ぷつんと通話が切れてしまった。どうやら、こちらの写真を送るのはちょっと、なんて七海に渋られるのを恐れてのことらしい。
    しかして自ら提案したことだ。
    七海はきちんと、五条の要望通りにするため早速と洗面所へ向かう。自分のうつる鏡を撮る七海の元へは、思った通り、豪奢な和装に身を包んだ五条の写真が送られてきた。
    「ほんとうに綺麗な人だな」
    思わず漏れた言葉は本音で間違いない。これは数日、いや数週間、よもやの来年の節分までの期間、プライベートのスマホの壁紙になる可能性を重々に秘めていた。
    「本当に許されるのなら、来年は直接見に行くのも悪くはありませんね」
    まるでレートの不釣り合いな、ふつ、ふつ、と毛玉のついたニット姿の写真だが、七海の写真ではあると切り捨て、事務作業然と送り返し、すぐさまもう一度五条の姿を眺めると。またとない完全なる休日、二度寝、春に近づく陽気、あたたかなコーヒーらすべてを掛け合わせて出来上がった以上の満足感が胸の内を満たしていく。
    「本人が隣にいなくてもこんなに充実させられるだなんて、アナタという人は、どこまで私をおかしくさせるんでしょうか」
    七海の元へはこんど、今日もかわいいね、などと男としては些かムッとさせられるメッセージが届くも、写真に写る五条を見れば笑いがこぼれていく。
    まさしく春の訪れと呼ぶべき暖かさが胸の内を満たして。五条が帰ってきたらそっと抱きしめ、この春の暖かさを分かち合おうと決めるのだった。
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    mahiruBBB

    PROGRESSほりぃさん(@57Dholly)、いはしさん(@sardine57817)のリレー小説バトンを僭越ながら頂きまして…これで良かったのか?!誰かが、優しく己の髪に触れている。壊れものを扱うかのように細やかな動きをみせる指先は、しばらくするとそのまま降り、頬まで来るとむに、と薄い肉を摘んだ。
    「起きてるんでしょ、七海」
    寝たふりなんて可愛いね。そう言いながらずっと弄られている頬が痛い。まだ惰眠を貪っていたかったのだが、この我儘な恋人は1人でのんびり目覚めを待つなんて芸当は出来ないようだ。
    「…止めてください、痛いです」
    「あ、起きた」
    「起きたんじゃなくて、起こされたんです」
    「えぇ〜どっちでも良くない?」
    ジトッとした目で見つめるも、『すっきりしました‼︎」と顔にかいてあるご機嫌野郎は全く意に介さないようだ。何回繋がったのか途中から覚えていないが、とりあえずズキズキと痛む腰が昨晩の激しさを物語っている。床に落ちているぐしゃぐしゃのリネン類は見なかったことにして、五条さんが手渡してくれたミネラルウォーターを煽った。
    「ねえ、ご飯とシャワー、どっちにする?」
    それとも僕、かな?なんて寝惚けたことを曰う五条さんにキャップを閉めたペットボトルを投げつけるが、直前でボトリと上質なカーペットの上に落ちた。クソッ。
    「えっ今舌打ちしたよ 1194

    sardine57817

    CAN’T MAKE五七ドロライ「囲う」用。
    開始20分でなんか違うなって思ってしまったので供養。
     二〇一八年九月。等級不明呪霊による一連の事件で受けた傷の予後観察のため高専に訪れた七海を医務室で待っていたのは家入ではなく五条だった。目隠しを少し上にずらして、手元のコピー用紙を睨んでいる。
    「家入さんは?」
    「その前に確認したいことがあってね」
     人払いをしてまで話したいことはなんだろうと七海が訝しんでいると、これを見ろと言わんばかりにそれを寄越される。虎杖による事件の報告書だ。特級術師でありながら教鞭にも立つ男はこういった添削の作業も仕事の一環である。
    「これ、何?」
    「例の呪霊の無数の手の領域展開のことですか?」
     任務に関するデータは克明に記録しなければならない。実戦で得た経験は文書として提出し、共有される。呪いとの戦いが始まってからずっと変わらない慣習である。
    「そこじゃない、その後だよ。『七海一級術師は戦闘態勢を解いていた』って何?」

    「窮地に立たされたときの人間の行動としては相応しくなかったのかもしれないですね」
    他人事のように言い放つ彼に憤りを感じた。

    「いっそ僕が何もできないように囲ってやろうか」 469

    ceasarchan_jc

    DONE7/24じゃがバター会場で無配したお話です。

    大病院跡継ぎの御曹司外科医五さん×製薬会社MRの七
    製薬会社のMRは、枕営業あるし、それが有名な製薬会社もあるし、就活中にその情報は入るよ。MRの営業はえぐいよと、仕事絡みで聞いて五七で妄想せずにはいられず勢いで書いた代物です。
    またも枕営業ですが、本にした「七海が枕営業する話」とはまったく別のお話となります。
    「転ばぬ先の」MRとは医療関係者へ営業をする、製薬会社などの者だ。
     大学は、国立の薬学部に入学した。薬剤師の国家資格も無事に取得し、さて卒業後はどうしようか。
     薬剤師の資格を取得しているのだから、薬剤師として働くのも良い。だが、薬剤師は今の時代には、あまり先行きが明るくいとは言えない。医療業界もAI化が進み、いずれ薬剤師は不要になるだろうと、そう言われてもいる。今ですら、働き口にあぶれている薬剤師は多い。
     なるべく早くに稼げるだけ稼いで、出来れば三十代で引退し、物価の安い国で悠々自適に暮らしたい。それならやはり、薬剤師より営業だ。MRだろう。
     外資系の製薬会社のMRなら、成績トップを取れば特別ボーナスが海外旅行という話も聞く。MRの営業はお金も掛かるが、リターンも大きい。上手くすれば、念願の早期リタイアも早々に叶うだろう。
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