告白「……俺はきっと、監督じゃないとダメってわけじゃないと思うんだよね」
監督が驚いたように目を見開いて、それからすぐ曖昧に微笑む。本心を隠すように、そうだね、とでも言うように。
「監督に出会ってからすごく視野が広がって成長できた実感があるし……他の人を好きになることだってあるのかもしれない」
「うん、できるよ。享介は素敵な人だから」
俺は監督に運命的なものを感じたことはない。あるとしたら、それは俺じゃなくて俺たちのものなんだと思う。
きっと監督もそうだ。この人はみんなに優しくて、みんなにとって特別な人だから。俺じゃないといけない理由があるわけじゃない。
わかってるんだ、そんなこと。
「でも、監督がいい」
586