過去の孤独、今そこにある希望(笙主♂)放課後、一緒に帰ろうと部長からWIREが来た。
珍しいと訝しむが嬉しく感じるのは誤魔化せず、教室で待つことにする。
手持ち無沙汰なので窓を見やる。
ふと、現実の自分を思い出す。
昼間でもカーテンを閉め切った薄暗い部屋の中で縮こまるように座っている自分は、過去の罪に囚われて曇った虚ろな目で仕方なく、その日その日を生きている。
もう逃げないで[[rb:現実 > 地獄]]を生きると決めた。その決意を捨てるつもりなどない。しかしどうしても、不安と少しの罪悪感を捨てられない。
自分は本当に[[rb:現実 > 地獄]]を生きていけるのか。見殺しにした一凛を置いて前を向いて良いのか……。
「笙悟」
聞き慣れた声によって暗い思考の底から引き上げられた。
889