可能性と信念「カラキ、お前は98.8%の確率で東の国にあるリュクに向かうつもりだな」
ジュゼベルの言葉に、ヨシモト・カラキは足を止めた。
彼女はロボットの中でも特に観察眼に優れている。
その人間の細かい表情の変化や動きだけで、どういう感情を持っているのか、何をしようとしているのか計算してしまうのだった。
無感情な機械音声で、ジュゼベルは続けた。
「いつものように、私が正しければ・・・『ALTER』についての調査か?」
カラキは振り返る。
その表情は緊張と不安が混じっているが、頑固たる意志も見られた。
「確かにそうだよ、ジュゼベル。私に送られてきた、元研究員からの情報・・・それを確かめに行くんだ」
「ふむ・・・人間のノイズだらけの脳でも理解できるように、わかりやすく説明しなければならない。君の命を狙う者もいるのは確かだ。今まで体が欠けずに生きているのも奇跡の内だろう。だが、この先君が生き残る可能性は、低い」
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