たしか赤色の天馬 九十九遊馬の肉体が成長しない事が判明したのは、彼が高校の二年生も終盤に差し掛かった頃のこと。
元々童顔ぎみではあったものの、それにしたって幼さが全く抜けない様に訝しんだカイトがふん縛って精密検査を行った事で判明した。様々な、超常現象などという言葉に収まりきらない体験をしたのだ、何があっても可笑しくはない。そう割り切ったように語るカイトが随分とこの問題のために奔走してくれた事は、皆よく知っていた。
彼の周囲は幸福にも優しく、奇特な肉体を持つことになった彼を特別扱いするようなものはいなかった。日頃の行いの賜物、というやつなのだろう。
さて、そんな遊馬の現状に対してこの俺、ベクター様はどう感じたか。
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