▼もち が とつぜん あらわれた ある朝、門倉が目を覚ますと枕元に謎の物体が転がっていた。一見目を閉じた手のひらサイズの生首のようだが、妙に可愛げのあるようなないような謎の物体は己と似たような様相をしている。
一体これはなんなんだと不気味に思いつつ指でつつけば丸くもっちりとしたソレはどうやら生き物であったようでぴくりと震えて目を開いた。
「……ゆ?」
小さく鳴き声を漏らしたつぶらな瞳と目が合い、互いの間に一瞬緊張が走る。先に動いたのは謎の生き物の方だった。ぎゅっと身を縮ませたソレに、もしや襲ってくるのかと思い咄嗟に捕まえようと手を広げる。予想した通り門倉へと向かいそいつは跳ねた。そして手にあたる軽く柔らかい感触。
「ゆ〜♡」
全身をぽよんぽよんと跳ねさせながら手にすり寄ってきたソレに門倉の毒気は完全に抜かれてしまったのだった。
5061