「龍宝華如」「わしがいつ! こがなこと望んだか」
それはそれは情けないとしか言いようのない、落胆と悲嘆と僅かな怒りと…… あと何かよく解らない、とりあえず負の感情なんだろうなと思う声で目の前の男が叫んだ。
生まれついてからというもの、それはそれは大切に大切に育てられて早…… 多分十年は過ぎたはずだが正確なところは解らない。とりあえず比喩でなく蝶よ花よと愛でられ、慈しまれて育ってきた。
と思ったらそれは大きな間違いで、端っから「生贄」として大事にされていただけだった。
やっぱりなー、世の中そんな美味い話があるわけねーんだよなあ。
と実は結構世慣れて…… 『スレ』ていらっしゃる、見た目と今日までの扱われ方だけは間違いなくお姫様な兼定は思った。
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