「大好きとおくりもの」「う……?」
気持ち良く目覚めた部屋の中はまだまだ布団の中のぬくぬく感が愛おしい、そんな季節だ。
良い天気らしく、陽の光で障子が光っているように見える。
「お目覚めですか?」
「んー」
「おはようございます、和泉様」
くろのすけが柔らかな声で挨拶してくれるのにおはよう、と返して和泉の一日が始まった。
いつも通り綿入を羽織ってもふもふと心地良い布団をしまったりしていると、隣の部屋の方から小さな音がした。
「あ!」
間もなくキシキシと軽く床板の音がして障子には人影。するりと開いた向こうには大好きな「いずみ」こと和泉守がいた。
「おはようさん。よく眠れたか?」
「あー!」
着替えを済ませている和泉守がさっと中に入って障子を閉めてくれた。ひや、と滑り込んでくる冷気にちょっと首を竦めていると、風邪引かねえうちに着替えような、と優しい声がする。
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