ALL 大倶利伽羅ハーレム本丸 大倶利伽羅ハーレム 君とひととせ 近侍のおしごと NorskskogkattaMOURNING主くり花火景趣出たときにハイになってかいた。花火見ながら軽装姿の嫁といちゃつくだけいつもの執務室とは違う、高い場所から夜空を見上げる。遠くでひゅるる、と音がしたあと心臓を叩かれたような衝撃とともに豪快な花が咲く。真っ暗だった部屋が花の明かりで色とりどりに輝く。それはとても一瞬でまた暗闇に戻るがまたひゅるる、と花の芽が音をなし、どんと花開く。「おお、綺麗だな」「悪くない」隣で一緒に胡座をかく大倶利伽羅は軽装だ。特に指定はしていなかったのだが、今夜一緒にどうだと言ったら渡したとき以来見ていなかったそれを着て来てくれた。普段の穏やかな表情がことさら緩んでいるようにも見える。横顔を眺めているとまたひゅる、どんと花の咲く音ときらきらと色があたりを染めては消える。大倶利伽羅の金色がそれを反射して瞳の中にも咲いたように見える。ああ。「綺麗だな」「そうだな、見事だ」夜空に視線を向けたままの大倶利伽羅がゆるりと口角を上げた。それもあるんだが、俺の心の中を占めたのは花火ではないんだけどな。「大倶利伽羅」「なんだ」呼び掛ければすっとこちらを見てくれる。ぶっきらぼうに聞こえる言葉よりも瞳のほうが雄弁だと気づいたのは付き合い始めてからだったかなと懐かしみながら、 843 NorskskogkattaMOURNINGさにちょも寝起きの身支度を小鳥に邪魔されるちょもさん#さにちょもいっせーのせいこちらのタグに参加させていただいたときのものまだ空が白んでまもない頃、山鳥毛はいつもひとり起き出している。それがただ枕を並べて寝るだけでも、体温を混ぜあって肌を触れ合わせて眠る日も変わらず審神者より先に布団を抜けだす。今日もまたごそりと動き出した気配に審神者は目を覚ました。「こんな朝から、なにしてんだ……」「……起こしてしまったか、まだ日が昇るまで時間がある。もう少し眠るといい」そういって山鳥毛が審神者の短い髪を撫でるとむずがるように顔をくしゃくしゃにする。やはりまだ眠いのだろうと手を離そうとするとそれを予見していたかのように手が捕まえられた。「おまえも、ねるんだよ」「だが、身支度が」山鳥毛の戦装束は白銀のスーツにネイビーのシャツと普段の手入れが欠かせないものだ。彼が巣と呼ぶ本丸を統括する審神者たる小鳥の隣に並ぶならば、いついかなる時も気の抜けた身なりではいられない。それが前夜どれだけ小鳥の寵愛を受けようとも。だからこそ、小鳥の甘えるような仕草に胸を矢で貫かれそれを受け入れ甘やかしてやりたいと思っても心を鬼にして手を離さなければと外そうとした。「俺がおまえと寝たいの。だから大人しく来い」「……小鳥 751 NorskskogkattaMOURNING主くり伊達組にほのぼのと見守られながらのおやつタイム伊達組とおやつ ずんだにおはぎに色とりどりのフルーツがのったタルト、そして一等涼しげな夏蜜柑の寒天がちゃぶ台を賑わせる。 今日は伊達の四振りにおよばれしてのおやつタイムとなった。 燭台切特製のずんだに意外とグルメな鶴丸の選んできた人気店のおはぎ、太鼓鐘の飾りのようにきらきらと光を反射するフルーツののったタルトはどれも疲れた身体に染みるほどおいしいものだった。 もっと言えば刀剣男士達とこうしてゆっくり話ができるのが何よりの休息に思う。 本丸内での面白エピソードや新しく育て始めた野菜のこと、馬で遠乗りに出かけたこと、新入りが誰それと仲良くなったことなど部屋にこもることが多い分、彼らが話してくれる話題はどれも新鮮で興味が尽きない。 うん、うんと相槌を打ちながら、時折質問をして会話を楽しんでいると、燭台切がそういえばと脈絡無くきりだした。「主くんって伽羅ちゃんに甘いよね」 それぞれもってきてくれたものに舌鼓をうって、寒天に手を着ける前にお茶を口に含んだ瞬間、唐突に投げられた豪速球にあやうく吹きかけた。さっきまで次の出陣先ではなんて少し真面目な話になりかけていただけに衝撃がす 2548 NorskskogkattaMOURNING主くり一回戦のあと、呼吸も整わないうちに離れる審神者が気に入らない大倶利伽羅ほとんど事後 1675 NorskskogkattaMOURNING主くり小腹が空いて厨に行ったらひとり夏蜜柑を剥いていた大倶利伽羅に出くわす話夏蜜柑を齧る まだ日が傾いて西日にもならない頃、午後の休憩にと厨に行ったら大倶利伽羅がいた。 手のひらに美味しそうな黄色を乗せて包丁を握っている。「お、美味そうだな」「買った」 そういえば先程唐突に万屋へ行ってくると言い出して出かけて行ったのだったか。 スラックスにシャツ、腰布だけの格好で手袋を外している。学ランによく似た上着は作業台の側の椅子に引っ掛けられていた。 内番着の時はそもそもしていないから物珍しいというわけでもないのだが、褐色の肌に溌剌とした柑橘の黄色が、なんだか夏の到来を知らせているような気がした。 大倶利伽羅は皮に切り込みを入れて厚みのある外皮をばりばりとはいでいく。真っ白なワタのような塊になったそれを一房むしって薄皮を剥き始めた。 黙々と作業するのを横目で見ながら麦茶を注いだグラスからひと口飲む。冷たい液体が喉から腹へ落ちていく感覚に、小腹が空いたなと考える。 その間も手に汁が滴っているのに嫌な顔ひとつせずばりばりと剥いていく。何かつまめるものでも探せばいいのになんとなく眺めてしまう。 涼やかな硝子の器につやりとした剥き身がひとつふたつと増えて 1669 NorskskogkattaMOURNING主くり支部のシリーズに出てくるふたりのその後煙草じゃなくて 昼食も終わり、午後の仕事を始める前の煙草休憩。再び癖となってしまったことに蜂須賀は顔を顰めたが、すまないとだけ言っている。 まあ、目的は単に紫煙を揺らすだけではないのだが。「またここに居たのか」「タバコ休憩な」 玉砂利を踏み締める音を立ててやってきたのは大倶利伽羅だ。指に挟んだ物をみせるとあからさまに機嫌が悪くなる。それがちょっと可愛く思えてどうにもやめられずにいる。 隣に並んだ大倶利伽羅をみて刀剣男士に副流煙とか影響するのだろうかと頭の片隅で考えながらも携帯灰皿に捨ててしまう。そうするまでじっとこちらを見ているのだ。 しっかりと見届けてふん、と鼻を鳴らすのが可愛く見える。さて今日はなにを話そうか、ぼんやりしているとがっしりと後頭部を掴まれる。覚えのある動作にひくりと頬が引きつった。「ちょっ、と待った」「なんだ」 気づけば近距離で対面している大倶利伽羅に手のひらを翳して動きを止める。指の隙間から金色とかち合う。普段は滅多に視線を合わせやしないのに、こういうときだけまっすぐこちらを見てくる。「お前なにするつもりだ」「……嫌なのか」 途端に子犬 910 NorskskogkattaMOURNING主くり緑の下で昼寝する主くり極の彼は適度に甘やかしてくれそう新緑の昼寝 今日は久々の非番だ。どこか静かに休めるところで思う存分昼寝でもするかと、赤い方の腰布を持って裏山の大桜に脚を伸ばす。 とうに花の盛りは過ぎていて目にも鮮やかな新緑がほどよく日光を遮ってまどろむにはもってこいの場所だ。 若草の生い茂るふかふかとした地面に寝転がり腰布を適当に身体の上に掛け、手を頭の後ろで組んでゆっくりと瞼を下ろす。 山の中にいる鳥の鳴き声や風に吹かれてこすれる木の葉の音。自然の子守歌に本格的にうとうとしていると、その旋律に音が増えた。「おおくりからぁ~……」 草葉の上を歩き慣れていない足音と情けない声にため息つき起き上がると背を丸めた主がこちらへと歩いてくる。 のろのろと歩いてくるのを黙って見ていると、近くにしゃがみ込み頬を挟み込まれ唐突に口づけられた。かさついた唇が刺さって気分のいいものではない。「……おい」「ははは、ごめんて」 ヘラヘラと笑いあっさりと離れていく。言動は普段と差して変わらないが覇気が無い。観察すれば顔色も悪い。目の下に隈まで作っている。「悪かったな、あとでずんだかなんか持って行くから」 用は済んだとばかりに立ち上 780 NorskskogkattaMOURNINGさにちょも桃を剥いてたべるだけのさにちょも厨に行くと珍しい姿があった。主が桃を剥いていたのだ。力加減を間違えれば潰れてしまう柔い果実を包むように持って包丁で少しだけ歯を立て慣れた手付きで剥いている。あっという間に白くなった桃が切り分けられていく。「ほれ口開けろ」「あ、ああ頂こう」意外な手際の良さに見惚れていると、桃のひとつを差し出される。促されるまま口元に持ってこられた果肉を頬張ると軽く咀嚼しただけでじゅわりと果汁が溢れ出す。「んっ!」「美味いか」溺れそうなほどの果汁を飲み込んでからうなづいて残りの果肉を味わう。甘く香りの濃いそれはとても美味だった。「ならよかった。ほら」「ん、」主も桃を頬張りながらまたひとつ差し出され、そのまま口に迎え入れる。美味い。「これが最後だな」「もうないのか」「一個しか買わなかったからな」そう言う主に今更になって本丸の若鳥たちに申し訳なくなってきた。「まあ共犯だ」「君はまたそう言うものの言い方を……」「でもまあ、らしくないこともしてみるもんだな」片端だけ口を吊り上げて笑う主に嫌な予感がする。「雛鳥に餌やってるみたいで楽しかったぜ」「…………わすれてくれ」差し 588 NorskskogkattaMOURNINGさにちょもちょもさんが女体化したけど動じない主と前例があると知ってちょっと勘ぐるちょもさん滅茶苦茶短い「おお、美人じゃん」「呑気だな、君は……」 ある日、目覚めたら女の形になっていた。「まぁ、初めてじゃないしな。これまでも何振りか女になってるし、毎回ちゃんと戻ってるし」「ほう」 気にすんな、といつものように書類に視線を落とした主に、地面を震わせるような声が出た。身体が変化して、それが戻ったことを実際に確認したのだろうかと考えが巡ってしまったのだ。「変な勘ぐりすんなよ」「変とは?」「いくら男所帯だからって女になった奴に手出したりなんかしてねーよ。だから殺気出して睨んでくんな」 そこまで言われてしまえば渋々でも引き下がるしかない。以前初期刀からも山鳥毛が来るまでどの刀とも懇ろな関係になってはいないと聞いている。 それにしても、やけにあっさりしていて面白くない。主が言ったように、人の美醜には詳しくはないがそこそこな見目だと思ったのだ。「あぁでも今回は別な」「何が別なんだ」「今晩はお前に手を出すってこと。隅々まで可愛がらせてくれよ」 折角だからなと頬杖をつきながらにやりとこちらを見る主に、できたばかりの腹の奥が疼いた。たった一言で舞い上がってしまったこ 530 NorskskogkattaMOURNINGさにちょもゴムの日に書いた話何枚消費されるのかはご想像にお任せします 777 NorskskogkattaMOURNING主くり軽装に騒ぐ主を黙らせる大倶利伽羅軽装に騒いだのは私です。「これで満足か」 はあ、とくそでかいため息をつきながらもこちらに軽装を着て見せてくれた大倶利伽羅にぶんぶんと首を縦に振る。 大倶利伽羅の周りをぐるぐる回りながら上から下まで眺め回す。「鬱陶しい」「んぎゃ!だからって顔つかむなよ!」 アイアンクローで動きを止められておとなしく正面に立つ。 ぐるぐる回ってるときに気づいたが角度によって模様が浮き出たり無くなったりしていてさりげないおしゃれとはこういうものなんだろうか。 普段出さない足も想像よりごつごつしていて男くささがでている。 あのほっそい腰はどこに行ったのかと思うほど完璧に着こなしていて拝むしかない。「ねえ拝んでいい?」「……医者が必要か」 わりと辛辣なことを言われた。けちーと言いながら少し長めに思える左腕の袖をつかむとそこには柄がなかった。「あれ、こっちだけ無地なの?」「あぁ、それは」 大倶利伽羅の左腕が持ち上がって頬に素手が触れる。一歩詰められてゼロ距離になる。肘がさがって、袖が落ちて、するりと竜がのぞいた。「ここにいるからな」 ひえ、と口からもれた。至近距離でさらりと流し目を食らったらそらもう冗談で 738 NorskskogkattaMOURNING主くり共寝した次の日の寒い朝のおじさま審神者と大倶利伽羅寒椿と紅の花 ひゅるり、首元に吹き込んだ冷気にぶるりと肩が震えた。腕を伸ばすと隣にあるはずの高すぎない体温が近くにない。一気に覚醒し布団を跳ね上げると、主がすでに起き上がって障子を開けていた。「あぁ、起こしてしまったかな」「……寒い」「冬の景趣にしてみたのですよ」 寝間着代わりの袖に手を隠しながら、庭を眺め始めた主の背に羽織をかける。ありがとうと言うその隣に並ぶといつの間にやら椿が庭を賑わせ、それに雪が積もっていた。 ひやりとする空気になんとなしに息を吐くと白くなって消えていく。寒さが目に見えるようで、背中が丸くなる。「なぜ冬の景趣にしたんだ」「せっかく皆が頑張ってくれた成果ですし、やはり季節は大事にしないとと思いまして」 でもやっぱりさむいですね、と笑いながらも腕を組んだままなのが気にくわない。遠征や内番の成果を尊重するのもいいが、それよりも気にかけるべきところはあるだろうに。「寒いなら変えればいいだろう」「寒椿、お気に召しませんでしたか?」 なにもわかっていない主が首をかしげる。鼻も赤くなり始めているくせに自発的に変える気はないようだ。 ひとつ大きく息 1374 NorskskogkattaMOURNING主くり夜伽系ブラック本丸から真新しい本丸に来た大倶利伽羅君がまだまだ幼いといえる年齢の審神者にほだされてたべちゃう話 4706 NorskskogkattaMOURNING主くりおじさま審神者と猫耳尻尾が生えた大倶利伽羅のいちゃいちゃ猫の日にかいたもの大倶利伽羅が猫になった。完璧な猫ではなく、耳と尾だけを後付けしたような姿である。朝一番にその姿を見た審神者は不覚にも可愛らしいと思ってしまったのだった。一日も終わり、ようやっと二人の時間となった審神者の寝室。むっすりと感情をあらわにしているのが珍しい。苛立たしげにシーツをたたきつける濃い毛色の尾がさらに彼の不機嫌さを示しているが、どうにも異常事態だというのに微笑ましく思ってしまう。「……おい、いつまで笑ってる」「わらってないですよ」じろりと刺すような視線が飛んできて、あわてて体の前で手を振ってみるがどうだか、と吐き捨てられてそっぽを向かれてしまった。これは本格的に臍を曲げられてしまう前に対処をしなければならないな、と審神者は眉を下げた。といっても、不具合を報告した政府からは、毎年この日によくあるバグだからと真面目に取り合ってはもらえなかった。回答としては次の日になれば自然と治っているというなんとも根拠のないもので、不安になった審神者は手当たり次第に連絡の付く仲間達に聞いてみた。しかし彼ら、彼女らからの返事も政府からの回答と似たり寄ったりで心配するほどではないと言われ 2216 NorskskogkattaMOURNING主くり極になって柔らかくなった大倶利伽羅に宣戦布告する片想いしてる主ポーカーフェイスの君にキスをしよう「大倶利伽羅」ひとつ呼ぶ。それだけで君は振り向いて、こちらを見てくれる。それだけでどうしようもなく締め付けられる胸が煩わしくて、ずたずたに切り裂かれてしまえとも思う。「なんだ」いつもと変わらぬ表情で、そよ風のように耳馴染みの良い声がこたえる。初めて顔を合わせた時より幾分も優しい声音に勘違いをしそうになる。真っ直ぐ見つめる君に純真な心で対面できなくなったのはいつからだったっけ、と考えてはやめてを繰り返す。君はこちらのことをなんとも思っていないのだろう。一人で勝手に出て行こうとした時は愛想を尽かされたか、それとも気づかれたのかと膝から力が抜け落ちそうになったが、4日後に帰ってきた姿に安堵した。だから、審神者としては認めてくれているのだろう。年々距離が縮まっているんじゃないかと錯覚させるような台詞をくれる彼が、とうとう跪座までして挨拶をくれた。泣くかと思った。自分はそれに、頼りにしていると答えた。模範的な返しだろう。私情を挟まないように、審神者であることを心がけて生きてきた。だけど、やっぱり俺は人間で。生きている限り希望や 1288 NorskskogkattaPASTさにちょも審神者の疲労具合を察知して膝枕してくれるちょもさん飄々としてい人を食ったような言動をする。この本丸の審神者は言ってしまえば善人とは言えない性格だった。「小鳥、少しいいか」「なに」 端末から目を離さず返事をする審神者に仕方が無いと肩をすくめ、山鳥毛は強硬手段に出ることにした。「うお!?」 抱き寄せ、畳の上に投げ出した太股の上に審神者の頭をのせる。ポカリと口を開けて間抜け面をさらす様に珍しさを感じ、少しの優越感に浸る。「顔色が悪い。少し休んだ方がいいと思うぞ」「……今まで誰にも気づかれなかったんだが」 そうだろうなと知らずうちにため息が出た。 山鳥毛がこの本丸にやってくるまで近侍は持ち回りでこなし、新入りが来れば教育期間として一定期間近侍を務める。だからこそほとんどのものが端末の取り扱いなどに不自由はしていないのだが、そのかわりに審神者の体調の変化に気づけるものは少ない。「長く見ていれば小鳥の疲労具合なども見抜けるようにはなるさ」 サングラスを外しささやくと、観念したように長く息を吐き出した審神者がぐりぐりと後頭部を太股に押しつける。こそばゆい思いをしながらも動かずに観察すると、審神者の眉間に皺が寄っている。「や 1357 NorskskogkattaPASTさに(→)←ちょも山鳥毛のピアスに目が行く審神者最近どうも気になることがある。気になることは突き詰めておきたい性分故か、見入ってしまっていた。「どうした、小鳥」 一文字一家の長であるというこの刀は、顕現したばかりだが近侍としての能力全般に長けており気づけば持ち回りだった近侍の任が固定になった。 一日の大半を一緒に過ごすようになって、つい目を引かれてしまうようになったのはいつからだったか。特に隠すことでもないので、問いかけに応えることにした。「ピアスが気になって」「この巣には装飾品を身につけているものは少なくないと思うが」 言われてみれば確かにと気づく。80振りを越えた本丸内では趣向を凝らした戦装束をまとって顕現される。その中には当然のように現代の装飾品を身につけている刀もいて、大分親しみやすい形でいるのだなと妙に感心した記憶がある。たまにやれ片方落としただの金具が壊れただのというちょっとした騒動が起こることがあるのだが、それはまあおいておく。 さて、ではなぜ山鳥毛にかぎってやたらと気になるのかと首を傾げていると、ずいと身を乗り出し耳元でささやかれた。「小鳥は私のことが気になっているのかな?」「あー……?」ちょっと 1374 NorskskogkattaPAST主くりリクエスト企画で書いたものちいさい主に気に入られてなんだかんだいいながら面倒を見てたら、成長後押せ押せでくる主にたじたじになる大倶利伽羅とたとたとた、と軽い足音に微睡んでいた意識が浮上する。これから来るであろう小さな嵐を思って知らずため息が出た。枕がわりにしていた座布団から頭を持ち上げたのと勢いよく部屋の障子が開け放たれたのはほぼ同時で逃げ遅れたと悟ったときには腹部に衝撃が加わっていた。「から! りゅうみせて!」腹に乗り上げながらまあるい瞳を輝かせる男の子どもがこの本丸の審神者だ。「まず降りろ」「はーい」咎めるように低い声を出しても軽く調子で返事が返ってきた。狛犬のように行儀よく座った審神者に耳と尻尾の幻覚を見ながら身体を起こす。「勉強は終わったのか」「おわった! くにがからのところ行っていいっていった!」くにと言うのは初期刀の山姥切で、主の教育もしている。午前中は勉強の時間で午後からが審神者の仕事をするというのがこの本丸のあり方だった。この本丸に顕現してから何故だか懐かれ、暇があれば雛のように後を追われ、馴れ合うつもりはないと突き離してもうん!と元気よく返事をするだけでどこまでもついて来る。最初は隠れたりもしてみたが短刀かと言いたくなるほどの偵察であっさり見つかるのでただの徒労だった。大人し 1811 NorskskogkattaPASTさにちょもリクエスト企画でかいたもの霊力のあれやそれやで獣化してしまったちょもさんが部屋を抜け出してたのでそれを迎えに行く主白銀に包まれて共寝したはずの山鳥毛がいない。審神者は身体を起こして寝ぼけた頭を掻く。シーツはまだ暖かい。いつもなら山鳥毛が先に目を覚まし、なにが面白いのか寝顔を見つめる赤い瞳と目が合うはずなのにそれがない。「どこいったんだ……?」おはよう小鳥、とたおやかな手で撫でられるような声で心穏やかに目覚めることもなければ、背中の引っ掻き傷を見て口元を大きな手で覆って赤面する山鳥毛を見られないのも味気ない。「迎えに行くか」寝起きのまま部屋を後にする。向かう先は恋刀の身内の部屋だ。「おはよう南泉。山鳥毛はいるな」「あ、主……」自身の部屋の前で障子を背に正座をしている南泉がいた。寝起きなのか寝癖がついたまま、困惑といった表情で審神者を見上げでいた。「今は部屋に通せない、にゃ」「主たる俺の命でもか」うぐっと言葉を詰まらせる南泉にはぁとため息をついて後頭部を掻く。「俺が勝手に入るなら問題ないな」「え、あっちょ、主!」横をすり抜けてすぱんと障子を開け放つと部屋には白銀の翼が蹲っていた。「山鳥毛、迎えにきたぞ」「……小鳥」のそりと翼から顔を覗かせた山鳥毛は髪型を整えて 2059 NorskskogkattaPAST主くり鍛刀下手な審神者が戦力増強のために二振り目の大倶利伽羅を顕現してからはじまる主をめぐる極と特の大倶利伽羅サンド大倶利伽羅さんどいっち?! どうもこんにちは!しがないいっぱしの審神者です!といっても霊力はよく言って中の下くらいで諸先輩方に追いつけるようにひたすら地道に頑張る毎日だ。こんな頼りがいのない自分だが自慢できることがひとつだけある。 それは大倶利伽羅が恋びとだと言うこと!めっちゃ可愛い! 最初はなれ合うつもりはないとか命令には及ばないとか言ってて何だこいつとっつきにくい!と思っていったのにいつしか目で追うようになっていた。 観察していれば目つきは鋭い割に本丸内では穏やかな顔つきだし、内番とかは文句を言いながらもしっかり終わらせる。なにより伊達組と呼ばれる顔見知りの刀たちに構われまくっていることから根がとてもいい奴だってことはすぐわかった。第一印象が悪いだけで大分損しているんじゃないかな。 好きだなって自覚してからはひたすら押した。押しまくって避けられるなんて失敗をしながらなんとか晴れて恋仲になれた。それからずいぶんたつけど日に日に可愛いという感情があふれてとまらない。 そんな日々のなかで大倶利伽羅は修行に出てさらに強く格好良くなって帰ってきた。何より審神者であるオレに信 4684 NorskskogkattaPAST主くりリクエスト企画の🔞小説対面座位とかおもちゃとか使ってる 8815 NorskskogkattaPAST主こりゅ/さにこりゅリクエスト企画で書いたもの小竜が気になり出す主とそれに気づく小竜夏から始まる燦々と輝く太陽が真上に陣取っているせいで首に巻いたタオルがすでにびっしょりと濡れている。襟足から汗がしたたる感覚にため息が出た。今は本丸の広い畑を今日の畑当番と一緒にいじっている。燭台切ことみっちゃんはお昼ご飯の支度があるから先に本丸にもどっていって、今はもう一振りと片付けに精を出しながらぼんやり考えていたことが口をついた。「小竜って畑仕事嫌がらないんだね」長船派のジャージに戦装束のときのように大きなマントを纏った姿に畑仕事を嫌がらない小竜に意外だなと思う。大抵の刀には自分たちの仕事じゃないと不評な畑仕事だけど小竜からは馬当番ほど文句らしき物を言われた記憶が無い。「いやいや、これで実は農家にあったこともあるんだよ?」これなんかよくできてると思うよ、と野菜を差し出される。まっかなトマトだ。つやつやして太陽の光を反射するくらい身がぱんぱんにはっている。一口囓るとじゅわっとしたたる果汁は酸味と甘さと、ちょっとの青臭さがあって我こそはトマトである!と言っていそうだ。「おいしい!」「だろうっ!」手の中の赤い実と同じくらい弾けた笑顔にとすっと胸に何かが刺さった気が 3868 NorskskogkattaPAST主村/さにむら(男審神者×千子村正)主刀でうさぎのぬいぐるみに嫉妬する刀なんだかよくわからないけどうさぎのぬいぐるみが気に入らない無自覚むらまさ「顔こわいんだけど」「……huhuhu、さて、なんででしょうね?」近侍の村正がいつも通り隣に控えてるけどいつもより笑顔が怖い。手の中には村正と同じ髪色のうさぎのぬいぐるみがある。休憩中の今は最近販売されたそれを手慰みにいじっていたのだった。「尻尾ならワタシにもありマスよ」ふわふわの丸い尻尾をつついていると村正が身体を捻って自分の尻尾をちょいちょいと触る。普段からそうだけど思わせぶりな言動にため息が出る。「そういう無防備なことしないの」「可笑しなことを言いますね、妖刀のワタシに向かって」刀剣男士には縁遠い言葉に首を傾げつつも村正はいつもの妖しげな笑いのままだ。わかってないなぁとやり場のない思いをうさぎに構うことで消化していると隣が静かだ。ちらっと横目で見てみると赤い瞳がじっとうさぎのぬいぐるみを見つめている。その色が戦場にある時みたいに鋭い気がするのは気のせいだろうか。「なに、気になるの」「気になると言うよりは……胸のあたりがもやもやして落ち着きません」少しだけ意外だった。自分の感情だったり周りの評価だったりを客観的にみているから自分の感情がよくわかっていない村正 828 NorskskogkattaPAST主肥/さにひぜ(男審神者×肥前)主刀でうさぎのぬいぐるみに嫉妬する刀おじさん審神者がうさぎのぬいぐるみに向かって好きっていってるのを目撃した肥前とうとう買ってしまった。刀剣男士をイメージして作られているといううさぎのぬいぐるみの、恋仲と同じ濃茶色に鮮やかな赤色が入った毛並みのものが手の中にある。「ううん、この年で買うにはいささか可愛すぎるが……」どうして手にしたかというと、恋仲になってからきちんと好意を伝えることが気恥ずかしくておろそかになっていやしないか不安になったのだ。親子ほども年が離れて見える彼に好きだというのがどうしてもためらわれてしまって、それではいけないとその練習のために買った。「いつまでもうだうだしてても仕方ない」意を決してうさぎに向かって好きだよという傍から見れば恥ずかしい練習をしていると、がたんと背後で音がした。振り返ると目を見開いた肥前くんがいた。「……邪魔したな」「ま、待っておくれ!」肥前くんに見られてしまった。くるっと回れ右して去って行こうとする赤いパーカーの腕をとっさに掴んで引き寄せようとした。けれども彼の脚はその場に根が張ったようにピクリとも動かない。「なんだよ。人斬りの刀には飽きたんだろ。その畜生とよろしくやってれば良い」「うっ……いや、でもこれはちがうんだよ」「何が違うってん 1061 NorskskogkattaPAST主般/さにはにゃ(男審神者×大般若)主刀でうさぎのぬいぐるみに嫉妬する刀主に可愛いと言わせたくてうさぎを買ってきたはんにゃさん「どうだいこれ、可愛らしいだろ?」主に見せたのは最近巷で話題になっている俺たち刀剣男士をモチーフにしたうさぎのぬいぐるみだ。といっても髪色と同じ毛皮に戦装束の一部を身につけているだけだが、これがなかなか審神者の間で人気らしい。「うさぎか?」「そうそう、俺のモチーフなんだぜ」うちの主は流行に疎い男だ。知らないものを見るときの癖で眉間にシワを寄せている。やめなって言ってるんだがどうにも治らないし、自分でも自覚してるらく指摘するとむっつりと不機嫌になる。そこがこの男の可愛いところでもあるがそれを口にすると似合わんと言ってさらにシワが深くなるからあまり言わないようにはしてる。厳しい顔も好きだがね。そんな主だから普段から睦言めいたものはなかなか頂けなくて少しばかりつまらない。そこでちょっとこのうさぎを使って可愛いとか言わせてみようと思ったわけさ。主に手渡すと胴を両手で持ちながらしげしげと眺めている。耳を触ったり目元の装飾をいじったり。予想よりだいぶ興味を示してるなぁと見ているときだった。「ああ、可愛いな」主が力を抜くように息を吐く。あ、これは思ったより面白くないかもしれない。そ 874 NorskskogkattaPAST主こりゅ(男審神者×小竜)主刀でうさぎのぬいぐるみに嫉妬する刀小竜視点で自分の代わりだと言われてずっと考えてくれるのは嬉しいけどやっぱり自分がいい小竜「ね、みてこれ! 小竜のが出たんだよー」「へーえ……」我ながら冷めきった声だった。遠征帰りの俺に主が見せてきたのは俺の髪の色と同じ毛皮のうさぎのぬいぐるみだった。マントを羽織って足裏には刀紋まで入ってるから見れば小竜景光をイメージしてるってのはよくわかる。「小竜の代わりにしてたんだ」「そんなのより俺を呼びなよ」「んー、でも出かけてていない時とかこれ見て小竜のこと考えてるんだ」不覚にも悪い気はしないけどやっぱり自分がそばにいたい。そのくらいにはこの主のことをいいなと感じているというのに本人はまだにこにことうさぎを構ってる。今は遠征から帰ってきて実物が目の前にいるってのに。ましてやうさぎに頬ずりを始めた。面白くない。「ねぇそれ浮気だよ」「へ、んっ、ンンッ?!」顎を掴んで口を塞いだ。主の手からうさぎが落ちたのを横目で見ながらちゅっと音をさせてはなれるとキスに固まってた主がハッとしてキラキラした目で見上げてくる。……ちょっとうさぎが気に入らないからって焦りすぎた。厄介な雰囲気かも。「は……初めて小竜からしてくれた!」「そうだっけ?」「そうだよ! うわーびっくりした! 619 NorskskogkattaPAST主麿(男審神者×清麿)主刀でうさぎのぬいぐるみに嫉妬する刀今まで審神者の分は買ってなかったのに唐突に自分の時だけ買ってきて見せつけてくる主におこな清麿「ほらこれ、清麿のうさぎな」「買ったんだね」主に渡されたのは最近売り出されているという僕ら刀剣男士をモチーフにしたうさぎのぬいぐるみだ。面白がって新しい物が出るたびに本刃に買い与えているこの主はそろそろ博多藤四郎あたりからお小言を食らうと思う。今回は僕の番みたいで手渡された薄紫色の、光の当たり具合で白色に見える毛皮のうさぎに一度だけ視線を落としてから主の机の上にあるもうひとつの僕を模したうさぎを見やった。「そちらは? 水心子にかな」「ほんと水心子のこと好きな」机に頬杖を突きながらやれやれと言った感じで言う主に首をかしげる。時折本丸内で仲のよい男士同士に互いの物を送っていたからてっきりそうだと思ったのに。「でも残念、これは俺の」では何故、という疑問はこの一言ですぐに解消された。けれどもそれは僕の動きを一瞬で止めさせるものだった。いつも心がけている笑顔から頬を動かすことができない。ぴしりと固まった僕の反応にほほうと妙に感心する主にほんの少しだけ苛立ちが生まれた。「お前でもそんな顔すんのね」いいもん見たわーと言いながらうさぎを持ち上げ抱く主に今度こそ表情が抜け落ちるのが 506 NorskskogkattaPAST主くり編/支部連載シリーズのふたり主刀でうさぎのぬいぐるみに嫉妬する刀審神者視点で自己完結しようとする大倶利伽羅が可愛くて仕方ない話刺し違えんとばかりに本性と違わぬ鋭い視線で可愛らしいうさぎのぬいぐるみを睨みつけるのは側からみれば仇を目の前にした復讐者のようだと思った。ちょっとしたいたずら心でうさぎにキスするフリをすると一気に腹を立てた大倶利伽羅にむしりとられてしまった。「あんたは!」激昂してなにかを言いかけた大倶利伽羅はしかしそれ以上続けることはなく、押し黙ってしまう。それからじわ、と金色が滲んできて、嗚呼やっぱりと笑ってしまう。「なにがおかしい……いや、おかしいんだろうな、刀があんたが愛でようとしている物に突っかかるのは」またそうやって自己完結しようとする。手を引っ張って引き倒しても大倶利伽羅はまだうさぎを握りしめている。ゆらゆら揺れながら細く睨みつけてくる金色がたまらない。どれだけ俺のことが好きなんだと衝動のまま覆いかぶさって唇を押し付けても引きむすんだまま頑なだ。畳に押し付けた手でうさぎを掴んだままの大倶利伽羅の手首を引っ掻く。「ぅんっ! ん、んっ、ふ、ぅ…っ」小さく跳ねて力の抜けたところにうさぎと大倶利伽羅の手のひらの間に滑り込ませて指を絡めて握りしめる。それでもまだ唇は閉じたままだ 639 NorskskogkattaPAST主くり編/近侍のおしごと主刀でうさぎのぬいぐるみに嫉妬する刀主の部屋に茶色いうさぎが居座るようになった。「なんだこれは」「うさぎのぬいぐるみだって」「なんでここにある」「いや、大倶利伽羅のもあるっていうからつい買っちゃった」照れくさそうに頬をかく主はまたうさぎに視線を落とした。その視線が、表情が、それに向けられるのが腹立たしい。「やっぱ変かな」変とかそういう問題ではない。ここは審神者の部屋ではなく主の私室。俺以外はほとんど入ることのない部屋で、俺がいない時にもこいつは主のそばにいることになる。そして、俺の以内間に愛おしげな顔をただの綿がはいった動きもしない、しゃべれもしない相手に向けているのかと考えると腹の奥がごうごうと燃えさかる気分だった。奥歯からぎり、と音がなって気づけばうさぎをひっ掴んで投げようとしていた。「こら! ものは大事に扱いなさい」「あんたは俺を蔑ろにするのにか!」あんたがそれを言うのかとそのまま問い詰めたかった。けれどこれ以上なにか不興をかって遠ざけられるのは嫌で唇を噛む。ぽかんと間抜けな表情をする主にやり場のない衝動が綿を握りしめさせた。俺が必要以上な会話を好まないのは主も知っているし無理に話そうと 1308 NorskskogkattaMAIKING月色、金色、蜂蜜色のその後のひたすらいちゃいちゃしてる主くり 3 12