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    Norskskogkatta

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    Norskskogkatta

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    主くり
    鍛刀下手な審神者が戦力増強のために二振り目の大倶利伽羅を顕現してからはじまる主をめぐる極と特の大倶利伽羅サンド

    #主刀
    mainBlade
    #主くり
    principalOffender

    大倶利伽羅さんどいっち?!


     どうもこんにちは!しがないいっぱしの審神者です!といっても霊力はよく言って中の下くらいで諸先輩方に追いつけるようにひたすら地道に頑張る毎日だ。こんな頼りがいのない自分だが自慢できることがひとつだけある。
     それは大倶利伽羅が恋びとだと言うこと!めっちゃ可愛い!
     最初はなれ合うつもりはないとか命令には及ばないとか言ってて何だこいつとっつきにくい!と思っていったのにいつしか目で追うようになっていた。
     観察していれば目つきは鋭い割に本丸内では穏やかな顔つきだし、内番とかは文句を言いながらもしっかり終わらせる。なにより伊達組と呼ばれる顔見知りの刀たちに構われまくっていることから根がとてもいい奴だってことはすぐわかった。第一印象が悪いだけで大分損しているんじゃないかな。
     好きだなって自覚してからはひたすら押した。押しまくって避けられるなんて失敗をしながらなんとか晴れて恋仲になれた。
    それからずいぶんたつけど日に日に可愛いという感情があふれてとまらない。
     そんな日々のなかで大倶利伽羅は修行に出てさらに強く格好良くなって帰ってきた。何より審神者であるオレに信頼を寄せるような、そんな言動が増えたし、声がひたすら優しく柔らかく聞こえるようになった。余裕が出てきたって感じなんだろうか。そのくせ万屋の付き添いを頼むと割と嫌がるようなことを言うけどちゃんと最後まで付き合ってくれる。本当に自分にはもったいないくらいのできた可愛い恋びとである。
     ただひとつだけ、ちょっとした不満がある。
     大倶利伽羅が嫉妬してくれないのだ。修行前は他の刀たちに構い過ぎると無言で睨んできたり何も言わずに姿を見せなくなったりして探し出すのに苦労した。見つけて話し合って、ごめんねと謝ると口をへの字に曲げて抱きついてくる大倶利伽羅が可愛くてしかたなかった。
     でも今ではうちの子達はもちろん、他本丸の大倶利伽羅と話しても嫉妬しないし、あんたの俺はここにいるって自信満々なのも可愛いんだけど、たまには拗ねたりするところが見たい!
    「というわけで、二振り目の大倶利伽羅を顕現しようと思うんだけど」
    「……本丸のことはあんたに任せている」
     ちょっと間が気になったけど、唐突な申し出に許しが出たので大倶利伽羅を連れて保管部屋へ向かう。
     うちの本丸ではオレの霊力がよくないばっかりに希少な刀たちと出会う機会がほとんど無い。だから頭数を増やすためにもすでに何振りかは二振り顕現している。だからまあ、今回もそんな感じでやっていこうと思う。もちろん手を出したりなんかはしない。
    「よーし、顕現するぞ!」
    「…………ああ」
     とっておいた”大倶利伽羅”に霊力を込める。どこからか桜の花びらが現れた。桜吹雪の中から刀剣男士が姿を現すこの瞬間はとてもわくわくする。
    「……大倶利伽羅だ。別に語ることはない。慣れ合う気はないからな」
    これこれ!このかんじ懐かしい!こちらの様子をうかがう野良猫みたい!
    「よろしく大倶利伽羅!」
     口上に若干かぶり気味で挨拶をしたから綺麗な金色がまん丸くなっててちょっと幼く見える。手を差し出しても払われるのがわかってたので無理矢理革手袋の手を握ってぶんぶんと上下に振る。これで契約はばっちりだ。霊力が低いから顕現したすぐに触れあわないと安定しないというへっぽこな訳だけど、こうして初めて顔を合わせて手を握ってお互いを確かめ合うのは結構好きだったりする。
     ぎゅーっと握ってると今の状況がわかってきたのか顔が赤くなって手が振り払われてしまった。
    「……っ、慣れ合うつもりはない!」
    「うんわかってるよー、後のことはそっちの奴に聞いてね」
     後ろに控えていた大倶利伽羅を紹介するとまた目を見開いた。そりゃあ顕現したらすでに修行済みの自分がいたら驚くよなと思いながら見守っていると普通に極から案内すると言いだして鍛刀部屋を二人して出て行った。
     とりあえず衝突は起こらなさそうで一安心だ。


    「くりからー!」
    「……チッ、離せ抱きつくな!」
     見慣れた焦げ茶色の頭を廊下の先に見つけて思いきり飛びついた。彼、二振り目の大倶利伽羅こと倶利伽羅を顕現してから一週間たった。まだ戦場に出せていないので練度は1のままだ。ツンツン加減が懐かしくて楽しくて見かけたらついこうして構ってしまう。そのたびに舌打ちだったり鬱陶しげな視線だったりを向けられるけどとっくにそれを経験している自分にとってはほとんどダメージはない。なにより本当にいやだったらあっという間に振りほどかれてとっととこの場を去っている。
    「あはは、今日もつんつんしてるなー!」
    「くそ……おい、離せ」
    「主、出陣部隊が帰ってきたぞ」
     ぐしゃぐしゃと猫っ毛を掻き回してじゃれていると後から穏やかに聞こえるようになった低い声がかかった。振り返れば俺の大倶利伽羅が片手に端末を持って立っていた。
    「はーい、今戻るよ。じゃあね倶利伽羅」
    「…………チッ」
     もうそんな時間かと倶利伽羅からぱっと手を離す。構われることを黙って受け入れているとしても引き際は肝心だよね。
     ひらひらと手を振って大倶利伽羅の元へ歩く。その後で倶利伽羅が極をにらみつけているなんて気づきもしなかった。
    「はー、今日も舌打ちされたな!」
     言葉にするとかなり変態くさいことで喜んでる自覚はしつつも軽い足取りで大倶利伽羅と並んで歩いて角をまがった時だった。
    「うお!?」
     腕が引っ張られてけたたましい音と鈍い痛みが背中に走る。両腕が壁に押さえつけられて身動きが取れない。股の間に長い脚が挟み込まれている。もちろんこんなことをしたのは大倶利伽羅だ。
    「いってぇ……なにすんだよ」
    「……そんなにあっちの俺がいいのか」
     俯いているせいで長めの茶褐色の髪がかかって表情が読めない。それでも絞り出すように吐き出された言葉にもしや、と胸が躍ってしまった。
    「……やきもち焼いてくれるの?」
    「だったら、なんだ」
     否定しない、拗ねるような大倶利伽羅に目を見開く。どんな顔をしているのだろうとちょっとわくわくしているとゆっくり頭が持ち上がった。
    「あんたの大倶利伽羅は俺だけで十分だろう……!」
     苦しげに涙をためた金色がぎゅーっと胸を締め付けてくる。たまらず抱きしめると背中の服が掴まれた。いつになく縋るみたいな仕草にちょっとだけ反省をした。嫉妬してもらいたいと思っていたのに二振り目を構うのが楽しすぎて恋びとを省みるのを忘れてしまっていた。
    「ごめん、オレの大倶利伽羅はきみだけだよ」
    「……嘘じゃないだろうな」
    「もちろん。ほったらかした罪滅ぼしじゃないけど今夜二人っきりで過ごそ?」
     手に馴染むようになった腰を引き寄せ柔らかい髪を撫でる。こっくりと肩口に埋まった頭が頷いた。
     その晩、訪ねてきた大倶利伽羅の腕をひっぱってに部屋になだれ込んでお互いを貪り合う。可愛く嫉妬してくれたオレは当然盛り上がったし、いつになく声を上げる大倶利伽羅にさらに興奮して楽しんでしまった。
    「あんた、もうあっちの俺に構うのは止めろ」
    「あっちは俺のこと眼中にないとおもうけど」
    「……どうだろうな」
     腕枕をしながら腕の中に収まったままの大倶利伽羅の髪に指を通して遊ぶ。気にすることはないとおもうけどなぁと思いながらいつになくひっついてくれる大倶利伽羅にきゅんと胸を矢で打ち抜かれつつ一緒に眠った。

     大倶利伽羅と恋びとらしい時間をしっかりと過ごしてから、それまで以上に近くにいることが増えた。二振り目と会わせないようにしてるらしい。なにか伝えなきゃいけないことがあると行ってくると言って部屋を出て行ってすぐ帰ってくるという徹底ぶりだった。あからさまなやきもちがこんなに可愛いとは思わなかった。
     それでも顕現したばかりでまだ練度上げをさせてないのでつながりが薄く、毎日会って話をしないといけない。それだけは大倶利伽羅の方を説得して顕現当初から続けていた。
     今日も倶利伽羅を呼び止めると首だけで振り向く。こっちにおいでと手招きをすると標準装備のため息をつきながらよってくる。
    「飽きもせず来るな」
    「飽きるとかそういうのじゃないからなあ」
    「その割にはここ二、三日無視されたが」
    「む、無視とかじゃないから!」
     極の方と仲良くしてました、なんて言えない。ごまかし気味に体調は?とか本丸での生活はどうだとか当たり障りのないことを聞いていく。
    「あんた、物好きだな」
     ぽつりぽつりと続いていく会話のなかでふいに倶利伽羅が遮ってきた。ほんのわずかに口角を上げる大倶利伽羅にデジャヴだ。なんだか頭の奥の方でけたたましい音が鳴り響いたような気がした。それからは適当に会話を切り上げて帰ってきてしまった。

     なんとなく倶利伽羅とふたりきりになるのが気まずい感じがして誰かのいるところで話しかけるようになったと同時に出陣させる準備ができた。
     こつこつと出陣し、二振り目がようやく特になった。避け続けるのも悪いし、これまで他のみんなにもしてきたようにお祝いするため執務室に呼んだ。
    「やー、おめでとう!これからもじゃんじゃん働いてもらうわけだけど、とりあえずお祝いってことで何か欲しいものある?」
     できるだけ明るく聞いてみるとちょっと考え込むそぶりを見せた。そこで珍しさを感じる。特に物欲とかなさそうなのに。暫くして倶利伽羅が顔を上げた。
    「……あんたがいい」
    「ほへ?」
     霊力が足りないからよこせと言うことだろうか。それだったらわざわざお祝いとしてでなくても言ってくれたら手入れの時にでも刀身に霊力込めるんだけどなと首をかしげていると倶利伽羅がもう一度口を開いた。
    「身体だけでもいい。……あんたにめちゃくちゃにされたい」
    「…………え? そういう? え、まじで……?」
     それは流石にちょっと、と視線が泳ぐ。まさか倶利伽羅にそんなふうに思われているなんて微塵もわからなかったし、オレの恋びとは極の大倶利伽羅だし、同じ姿だとしてもあいつと目の前の彼は別の存在だ。それでも動揺が半端なくていやな汗をかいてきた。
     何も言えずにいるとチッと舌打ちが聞こえて背中が畳に叩きつけられる。頭をぶつけることはしなかったのが胸に痛い。こういうときでさえ相手を優先するんだから、困ってしまう。
    「何が不満だ。あっちの俺に飽きたから俺を顕現したんじゃないのか」
    「そんなんじゃ」
    「……あんたは遊びのつもりかもしれないが、俺はあんたが」
     綺麗な形の眉をゆがめて見下ろす大倶利伽羅に記憶がダブる。
    「お、おくりから、」
     思わず手が伸びた。視界にある大好きなひととおんなじ顔が驚いたように見開いて、ゆっくりと睫を伏せる。もう少しで滑らかな頬に指が触れそうになって。
    「主、明日の出陣だが」
    「うわっはいすいません!」
     障子の向こうから近づいてきた耳になじんだ低音にびっくんと肩が跳ねてしまう。
    「……チッ、間の悪い」
    「…………これはなんの真似だ」
    「ひえぇっ」
     あわあわして倶利伽羅をどかそうとしているうちにあいつがきてしまった。倶利伽羅に押し倒されているという言い逃れのできない状況に金色の目の瞳孔がきゅうと鋭くなって、背後に戦場ですらみせないくらいの殺気が見えるようだった。
     二振りの視線が交わる。その瞬間にゴングが高らかに鳴り響いた気がした。
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    Norskskogkatta

    Valentine主くり♂くり♀のほのぼのバレンタイン
    料理下手なくり♀が頑張ったけど…な話
    バレンタインに主にチョコ作ろうとしたけどお料理できないひろちゃんなので失敗続きでちょっと涙目で悔しそうにしてるのを見てどうしたものかと思案し主に相談して食後のデザートにチョコフォンデュする主くり♂くり♀
    チョコレートフォンデュ一人と二振りしかいない小さな本丸の、一般家庭ほどの広さの厨にちょっとした焦げ臭さが漂っている。
    執務室にいた一振り目の大倶利伽羅が小火になってやいないかと確認しにくると、とりあえず火はついていない。それから台所のそばで項垂れている後ろ姿に近寄る。二振り目である妹分の手元を覗き込めば、そこには焼き色を通り越して真っ黒な炭と化した何かが握られていた。
    「……またか」
    「…………」
    同年代くらいの少女の姿をした同位体は黙り込んだままだ。二振り目である廣光の手の中には審神者に作ろうとしていたチョコレートカップケーキになるはずのものがあった。
    この本丸の二振り目の大倶利伽羅である廣光は料理が壊滅的なのである。女体化で顕現したことが起因しているかもしれないと大倶利伽羅たちは考えているが、お互いに言及したことはない。
    2051

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    DONEらびこれ主刀(山鳥毛)「小鳥、これを」
    恋刀である山鳥毛が、艶のある声と共に差し出してきたのはうさぎのぬいぐるみだった。つぶらな赤い目が可愛らしい。
    ふわふわ具合のフォルムは手触りの良さが触らずとも分かるようだ。
    淡い光を閉じ込めた銀色のような毛と赤い目は、うさぎらしさにこれでもかと溢れている。
    けれど、そのふわもこボディにはかっちりとした渋い色合いのアイテムを身に付けていて、審神者はそこが気にかかった。見覚えのあるそれらは、どう見ても目の前の刀のものとそっくりにしか見えない。
    「山鳥毛、これって……」
    「ああ、私を模した兎、とのことだ。なかなかの出来だと思う」
    「あ、うん。それは俺もそう思う。かわいかっこいいって感じで」
    「……そうか。小鳥が気に入ってくれて安心した。ありがとう」
    「え、あ、どういたしまして……?」
    はにかむ美貌を間近に浴びてくらりとする。
    審神者は目の端に星が散っている気持ちになりながら、気になったことを聞いてみる。
    「というか、なんで俺にこれを……?」
    審神者は数年前に大学を卒業した成人した青年だ。
    刀である山鳥毛よりも若いとはいえ、このように可愛らしいものは年齢一桁代以降は持ったこと 896

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    DONEらびこれ主刀(源氏兄弟)「──ねえ。主は、あれは買わないの?」
    髭切の伸ばした指の先を見れば、カラフルなうさぎたちが万屋のショーウィンドウに綺麗に並べられている所だった。
    「あぁ、あれかあ。俺は買う予定はないよ」
    「そうなのか?君は我らを模したものへは財布の紐が緩くなって、すぐに購入するではないか」
    隣を歩いていた膝丸はそう言ってくるが、財布やパスケースなんて実用品ならともかく、可愛いうさぎを飾っても置きっぱなしになるのが目に見えている。
    彼らも自分たちを模したぬいぐるみが埃をかぶっているのは嫌だろう。まあ俺の部屋は、定期的に掃除をしてくれる優しい刀がたくさん居ているのでその心配はないだろうけど。
    そう思ったら、飾るのもちょっといいかもしれないと思ったので二人に尋ねてみる。すると、二人は同じタイミングで目を瞬かせるとゆっくりと口を開いた。
    「いらないよ」
    普段よりもずいぶんと低い声で髭切が言う。
    「あぁ、そうだな兄者。いらんな」
    対照的にいつもよりも柔らかな声で膝丸が同意した。
    にこりと同じ角度で首をかしげて微笑む兄弟は美しい、しかし背後に何かを感じ取れてしまう。
    「あ、はい……」
    大人しく頷いた俺の腕を髭切 626

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    DONE主刀(さに←ちょも)
    南泉をそえて
    「すまない、少しいいか?」
    「にゃっ!?」
    久しぶりの非番はごろごろするに限る。そんな信念を持って自室でのんびり過ごしていると、甘さを含んだ低い声に部屋の外から呼び掛けられた。声に覚えがありすぎる南泉は悲鳴をあげて飛び上がる。
    一家のお頭である山鳥毛にだらしない姿を見せるわけにもいかない。畳へ出していたものを押し入れに放り込むと、平静さを装って部屋へ招き入れる。
    「非番の日にすまんな。少し相談があるのだが……」
    「お頭が、相談……?」
    「ああ、小鳥と先日話をした時なんだが……。彼が、私と一緒に酒を呑みたいなどと可愛らしい事を言ってくれてな」
    「はあ……」
    「その為の酒器を探しているのだが、品揃えの良さに見れば見るほど悩んでしまっているんだ。少々困ってしまってな」
    そう言って広げられた万屋のカタログを見た南泉は全身の毛が逆立つような気持ちにさせられた。
    カタログの装丁からして違うとは思っていたが、どう見ても日用品とは思えない。人間国宝やら有名な工房の受注品ばかりだ。その品々の金額は、南泉が万屋などで買い物をする時に見たことのない価格帯のものばかりだ。国宝や重文の刀も数多くある一文字一家で 825

    Norskskogkatta

    PAST主こりゅ(男審神者×小竜)
    主刀でうさぎのぬいぐるみに嫉妬する刀

    小竜視点で自分の代わりだと言われてずっと考えてくれるのは嬉しいけどやっぱり自分がいい小竜
    「ね、みてこれ! 小竜のが出たんだよー」
    「へーえ……」
    我ながら冷めきった声だった。
    遠征帰りの俺に主が見せてきたのは俺の髪の色と同じ毛皮のうさぎのぬいぐるみだった。マントを羽織って足裏には刀紋まで入ってるから見れば小竜景光をイメージしてるってのはよくわかる。
    「小竜の代わりにしてたんだ」
    「そんなのより俺を呼びなよ」
    「んー、でも出かけてていない時とかこれ見て小竜のこと考えてるんだ」
    不覚にも悪い気はしないけどやっぱり自分がそばにいたい。そのくらいにはこの主のことをいいなと感じているというのに本人はまだにこにことうさぎを構ってる。
    今は遠征から帰ってきて実物が目の前にいるってのに。ましてやうさぎに頬ずりを始めた。面白くない。
    「ねぇそれ浮気だよ」
    「へ、んっ、ンンッ?!」
    顎を掴んで口を塞いだ。主の手からうさぎが落ちたのを横目で見ながらちゅっと音をさせてはなれるとキスに固まってた主がハッとしてキラキラした目で見上げてくる。……ちょっとうさぎが気に入らないからって焦りすぎた。厄介な雰囲気かも。
    「は……初めて小竜からしてくれた!」
    「そうだっけ?」
    「そうだよ! うわーびっくりした! 619

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    それからずいぶんたつけど日に日に可愛いという感情があふれてとまらない。
     そんな日々のなかで大倶利伽羅は修行に出てさらに強く格好良くなって帰ってきた。何より審神者であるオレに信 4684

    Norskskogkatta

    PAST主くり
    リクエスト企画で書いたもの
    ちいさい主に気に入られてなんだかんだいいながら面倒を見てたら、成長後押せ押せでくる主にたじたじになる大倶利伽羅
    とたとたとた、と軽い足音に微睡んでいた意識が浮上する。これから来るであろう小さな嵐を思って知らずため息が出た。
    枕がわりにしていた座布団から頭を持ち上げたのと勢いよく部屋の障子が開け放たれたのはほぼ同時で逃げ遅れたと悟ったときには腹部に衝撃が加わっていた。
    「から! りゅうみせて!」
    腹に乗り上げながらまあるい瞳を輝かせる男の子どもがこの本丸の審神者だ。
    「まず降りろ」
    「はーい」
    咎めるように低い声を出しても軽く調子で返事が返ってきた。
    狛犬のように行儀よく座った審神者に耳と尻尾の幻覚を見ながら身体を起こす。
    「勉強は終わったのか」
    「おわった! くにがからのところ行っていいっていった!」
    くにと言うのは初期刀の山姥切で、主の教育もしている。午前中は勉強の時間で午後からが審神者の仕事をするというのがこの本丸のあり方だった。
    この本丸に顕現してから何故だか懐かれ、暇があれば雛のように後を追われ、馴れ合うつもりはないと突き離してもうん!と元気よく返事をするだけでどこまでもついて来る。
    最初は隠れたりもしてみたが短刀かと言いたくなるほどの偵察であっさり見つかるのでただの徒労だった。
    大人し 1811

    Norskskogkatta

    PASTさに(→)←ちょも
    山鳥毛のピアスに目が行く審神者
    最近どうも気になることがある。気になることは突き詰めておきたい性分故か、見入ってしまっていた。
    「どうした、小鳥」
     一文字一家の長であるというこの刀は、顕現したばかりだが近侍としての能力全般に長けており気づけば持ち回りだった近侍の任が固定になった。
     一日の大半を一緒に過ごすようになって、つい目を引かれてしまうようになったのはいつからだったか。特に隠すことでもないので、問いかけに応えることにした。
    「ピアスが気になって」
    「この巣には装飾品を身につけているものは少なくないと思うが」
     言われてみれば確かにと気づく。80振りを越えた本丸内では趣向を凝らした戦装束をまとって顕現される。その中には当然のように現代の装飾品を身につけている刀もいて、大分親しみやすい形でいるのだなと妙に感心した記憶がある。たまにやれ片方落としただの金具が壊れただのというちょっとした騒動が起こることがあるのだが、それはまあおいておく。
     さて、ではなぜ山鳥毛にかぎってやたらと気になるのかと首を傾げていると、ずいと身を乗り出し耳元でささやかれた。
    「小鳥は私のことが気になっているのかな?」
    「あー……?」
    ちょっと 1374

    Norskskogkatta

    MOURNING主くり
    軽装に騒ぐ主を黙らせる大倶利伽羅

    軽装に騒いだのは私です。
    「これで満足か」
     はあ、とくそでかいため息をつきながらもこちらに軽装を着て見せてくれた大倶利伽羅にぶんぶんと首を縦に振る。
     大倶利伽羅の周りをぐるぐる回りながら上から下まで眺め回す。
    「鬱陶しい」
    「んぎゃ!だからって顔つかむなよ!」
     アイアンクローで動きを止められておとなしく正面に立つ。
     ぐるぐる回ってるときに気づいたが角度によって模様が浮き出たり無くなったりしていてさりげないおしゃれとはこういうものなんだろうか。
     普段出さない足も想像よりごつごつしていて男くささがでている。
     あのほっそい腰はどこに行ったのかと思うほど完璧に着こなしていて拝むしかない。
    「ねえ拝んでいい?」
    「……医者が必要か」
     わりと辛辣なことを言われた。けちーと言いながら少し長めに思える左腕の袖をつかむとそこには柄がなかった。
    「あれ、こっちだけ無地なの?」
    「あぁ、それは」
     大倶利伽羅の左腕が持ち上がって頬に素手が触れる。一歩詰められてゼロ距離になる。肘がさがって、袖が落ちて、するりと竜がのぞいた。
    「ここにいるからな」
     ひえ、と口からもれた。至近距離でさらりと流し目を食らったらそらもう冗談で 738

    Norskskogkatta

    MOURNING主くり
    重陽の節句に菊酒を作る大倶利伽羅と、それがうれしくて酔い潰れる主
    前半は主視点、後半は大倶利伽羅視点です
    『あなたの健康を願います』

    隣で動く気配がして意識が浮上する。布団の中で体温を探すも見つからない。眠い目蓋を持ち上げると腕の中にいたはずの大倶利伽羅がいなくなっていた。
    「……起こしたか」
    「どうした、厠か……」
    「違う、あんたは寝てろ。まだ夜半を過ぎたばかりだ」
    目を擦りながら起き上がると大倶利伽羅は立ち上がって部屋を出て行こうとする。
    なんだか置いていかれるようで咄嗟に追いかけてしまった。大倶利伽羅からは胡乱な目で見られてしまったが水が飲みたいと誤魔化しておいた。
    ひたひたと廊下を進むと着いた先は厨だった。
    「なんだ、水飲みに来たのか」
    「それも違う」
    なら腹でも空いたのだろうか。他と比べると細く見えても戦うための身体をしているのでわりと食べるしなとぼんやりしているとどこから取り出したのかざるの上に黄色い花が山をなしていた。
    「どうしたんだそれ」
    「菊の花だ」
    それはわかる。こんな夜更けに厨で菊の花を用意することに疑問符を浮かべていると透明なガラス瓶を取り出してそこに洗った菊の花を詰めはじめた。さらに首を捻っていると日本酒を取り出し注いでいく。透明な瓶の中に黄色い花が浮かんで綺麗 3117