いなばリチウム @inaba_hondego 小説メイン刀:主へし、主刀、刀さに♂mhyk:フィガ晶♂文アル:はるだざ、菊芥、司♂秋文スト:織太 ☆quiet follow Yell with Emoji POIPOI 51
いなばリチウムDONE重傷進軍ボイスネタ極バージョン。青野原に出陣してる。一応前のと繋がってる。前の→https://poipiku.com/594323/5778421.html「信念に沿っての選択であれば、それに従うだけですが……」 久々の苦境だった。 新たに出陣許可が下りたエリアは精鋭部隊で進んでも数振りの重傷者が出ている。刀装もほとんど剥がされ、資材の在庫確認から見直す必要がありそうだった。 「きっついなー、青野原」 軽い口調で零しながら、加州は目をぎらつかせている。 「でも、あと少しって感じ」 「無理は禁物だ。半数が重傷ではな」 「分かってるって。長谷部に諭されるとはね。……堀川の腕が見つかり次第、引き上げる?」 「そうだな。一応主に連絡を取る」 目の前には加州と言葉を交わす前からずっと『進軍せよ』という電子メッセージが浮かんでチカチカと光っている。長谷部は部隊に背を向け、慣れた手順で本丸へと繋いだ。 「はい、何?」 平素と変わらない、低く落ち着いた声だ。周りに敵の気配がないとはいえ、本丸で聞くのと変わらない声に心が安らいだ。しかし、 1905 いなばリチウムDONE12/18「またとない遺志に告ぐ」展示北時代のフィガロ信者魔法使いが石になる話。フィガロに自分の石食べて欲しい信者絶対いるよね、と友達と盛り上がったのが元 モブ信者視点。CP要素なし。イベントお疲れ様でした!アフター用に全体公開にしました。石の話 嗚呼、偉大なる魔法使いフィガロ様。あの御方が我らの前に姿を見せなくなってもう何十年経つだろうか。噂によると一年に一度、限られた場所に限られた時間だけお姿をお見せになるということだったがあの御方の高貴なる御姿を見られるのはやはり限られた者達だけだった。魔力が乏しく、かと言って人には紛れられず、魔法使いとも慣れ合えず、ただただあの御方への憧れと崇拝だけでここ数年生き延びてきただけの自分にはそんな伝手があるわけもなく、けれども残った寿命もあと僅かというところで幸運なことにあの方が暮らすという南の村に辿り着くことができたのだった。 かつてその強大な力を征服の為に振るった方がこんな辺鄙な村に、と疑問に感じたが、すぐに首を振って疑問ごと浅ましい思いを振り払った。あの御方の爪の先程の魔力しか持たない自分ごときがどうしてその行動を疑問に思うなどしたのだろう。あの御方の仰ることなされること全て、あの御方にしか理解できない意味や思いが込められているのは分かり切っているのに。余計なことを考えるとただでさえ残り少ない寿命を無駄にすり減らしてしまう。目的はただ一つ。あの御方の御傍にいられず、その尊き行いを人の噂でしか知ることのできない自分には贅沢すぎる目的であり、願いでもあった。あの御方の一部になりたい。こんな自分でも多少の魔力は残っているだろう。石になってしまうのは恐ろしいことだが、それよりも恐ろしいのは、他の見ず知らずの魔法使いの肥やしになってしまうことだった。どうせ糧になるのなら、フィガロ様の糧になりたい。目の前に魔法使いの石が転がっていたら、あの御方はどうするだろうか。どうか、どうか糧にして欲しい。その御手で石になった俺をつまみ上げ、眺め、なんと弱い魔法使いの死体だと嘲笑い、気紛れに唇を開けて下されば俺は、そこで初めて、 1590 いなばリチウムDONE重傷進軍ボイスネタ主へし(特)その内極バージョンも書きたい「これは何かの策ですか?」 重傷二振り、中傷一振り、自身も軽傷状態だったが、部隊を率いて身を隠すくらいの余裕はあった。重傷の大和守に肩を貸す加州も傷は浅いものの、傷そのものより疲労の方が深刻であるのが見て取れる。撤退だろうな、と半ば独り言のような呟きに皆力なく頷いた。しかし、目の前には『進軍せよ』という、部隊長にのみ可視化された電子メッセージが浮かんでいる。心臓が早鐘を打ってた。何かの間違いだ、と思う。 本丸にいる審神者との連絡もまた、部隊長のみに許されていた。決められた手順に従えば、ノイズ混じりに審神者の声が耳を震わせる。 「――はい、状況は見えてるよ」 平素と変わらない声だった。普段なら安心感のある落ち着いた低音が、この場にはそぐわない。 2806 12