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    いなばリチウム

    @inaba_hondego

    小説メイン
    刀:主へし、主刀、刀さに♂
    mhyk:フィガ晶♂
    文アル:はるだざ、菊芥、司♂秋
    文スト:織太

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    いなばリチウム

    DOODLE複数の刀に手を出すタイプのクズ審神者の始まり3
    がっつり主清初夜 多分初夜
    主清初夜R18***


    「ん、んぅ、ん……っ!」
     俺がしたのとは違う、唇を合わせるだけじゃなくて、舌がねじこまれて、絡み合って、吸われる、そんな口づけだった。舌先を吸われる度、じゅる、くちゅ、といやらしい音が頭の中に直接響いて、ぼぅっとしてしまう。それだけでもういっぱいいっぱいなのに、主の手が俺の耳朶を撫でて、くにくにと触るものだから、そんなつもりないのに腰が浮いてしまう。
    「っあ、ん……やだ、それ……っ」
    「ふふ、耳よわいんだね」
     口づけの合間に、主が声を立てて笑う。顔が離れたと思ったら、今度は耳に舌がぬるりと這わされて、ぞくぞくした。
    「ひぁ……っ」
     耳の穴に舌を入れられて、舐られる。舌と唾液の音が直接聞こえてきて、舐められていない方の耳も指でいじられるからたまったもんじゃない。ぐちゅぐちゅ聞こえる音が俺の頭の中を搔き乱す。ついさっきまで俺が主を組み敷いていたのに、今はもう完全に逆転していた。暴れそうになる足は主が太股の間に体を押し込んできてもう動かせない。膝頭が足の間に入り込んできて、ぐりぐりと押される。
    3855

    いなばリチウム

    DOODLE複数の刀に手を出すタイプのクズ審神者の始まり2
    さにみか要素がほんの少しある主清です。
    答え合わせ さにみかになるまでと主清のはじまり だってさあ……悩みがあるのか、って聞かれて、実は欲求不満で、とか言えないでしょ、自分の刀に。完全にセクハラだもんな。
    「よっきゅうふまん……?」
     俺の体を跨ぐ形で覆い被さっている清光は、俺の言葉を繰り返して、ぱち、ぱち、と瞬きをした。かわいい。きょとんとしている。
     俺は簡単に説明した。清光に何度も心配されて、まずいな、とは思っていたこと。目を見たら本音を吐きそうで、ふたりきりになるのを避けていたこと。鏡を見れば、自分が思っている以上に陰鬱な顔をしていて、けれど解決策がないまま数ヶ月を過ごしていたこと。審神者になる前は恋人みたいなセフレみたいな存在が常に3~6人はいたんだけど全員にフラれて、まあなんとかなるっしょ、と思ったものの自分が思っていた以上になんともならないくらい、人肌が恋しくなってしまったこと。刀達のことはうっかり口説きそうになるくらい好きなこと。でも臣下に、それもかみさまに手を出すのはさすがにセクハラだし不敬っぽくない? まずくない? と思っていたこと。
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    いなばリチウム

    DOODLE複数の刀に手を出すタイプのクズ審神者の始まり1.5
    さにみか要素がほんの少しある主清です。
    一個前の答え合わせだけど審神者メインで他の本丸の審神者との交流とかなので読み飛ばしてもいいやつです
    答え合わせ 審神者くわしくサイド 一応ね、俺も、俺がちょっとおかしいってことは分かってるんだけどね。おかしい、って分かった上で、今、ここにいる。

     審神者になる前、俺は常に最低3人、多くて6人、恋人ないしセフレがいた。
     昔から、俺はどうにも”重い”らしく、恋人が出来ても大体一ヶ月くらいでフラれるばかりだった。俺は毎日好きって言いたいし毎日キスしたいし毎日くっついていたいし毎日好きな子を抱きたいのに、それがだめらしい。体目当てみたいでいやだ、と言われたので、昼間のデートもみっちりプランを立てて楽しく過ごしてみたものの、大学に通いながらデートしてその上で夜は夜でセックスするの体力やばすぎるむり、って言われてフラれる。メンヘラも俺と付き合うと根負けするレベル、って大学の頃噂されたっけ……。非常に遺憾だった。なんでだ。幸い、縁があってフラれてもまた別の子と付き合えることが多かったけど、そんなことが続いたので遊び人と認定されちゃうし……。
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    いなばリチウム

    PROGRESS複数の刀に手を出すタイプのクズ審神者の始まり
    さにみか要素がほんの少しある主清です。
     全部、腑に落ちた。

     主に、最近元気がなかったこと。
     戦績は良くなっていってるのに、反比例するように溜息が多かったこと。
     どうしたの、悩みでもあんの、俺にできること、ある? って聞いても、困ったように笑って、答えてくれなかったこと。
     それが、何日か前から嘘みたいに表情が明るくなって、俺が知らない内に解決したことはなんだかさみしかったけど、よかったなあって、思ってたのに。

     昨日の夜、そろそろ寝ようかな、って時間になってから、主に聞きたいことがあったのを思い出した。別に大した内容じゃなかったけど、本丸の仲間が増えて戦力的には安定してきたものの、初期刀のに、主とふたりきりで話す機会は減っていたから、ちょうどいいやとも思ってた。主がもう寝てたら、それはそれで朝起きてからにすればいいんだし、って。部屋を抜け出して廊下に出たら、まさに向かう先の部屋の主が、曲がり角を曲がっていったところだった。あれ? と首をかしげる。主が向かっていたのは、主の部屋とは反対方向だった。良くないと思いながら、俺はそっと後をつけて、見てしまった。三日月宗近の部屋の前で立ち止まった主を。その頬を、襖の隙間からするりと伸ばされた手が撫でたのを。そこは三日月宗近の部屋だし、伸びた手が纏っているのは紺青色の袖だった。廊下の角に隠れていたので声は聞こえなかったけど、主は二言三言口にして、目を細めて笑っていた。くすぐったそうに身を捩り、三日月の両手を絡め取ると、襖の方に顔を寄せる。両手が主の背中に回って、そのまま、主は倒れ込むように部屋の中へ消えていった。
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    いなばリチウム

    DONE主へしリク③何らかの罪の共犯者になる話読みたいです!文字通りの罪でも、罪深い深夜飯とかでも!

    「共犯」が好きすぎて両方入れました。
    健全共犯だけ読みたい方は途中まで!(区切ってます)
    共犯主へし 審神者の、「どうしよう長谷部」には昔から弱かった。弱り切った様子でそう言われればなんでもしてあげたいという気持ちになったし、実際、なんでもしてきた。初期刀などは「甘やかしすぎだ」と眉を顰めて咎めてきたが、それは大体審神者の「どうしよう」を解決した後だったので、「次から気を付ける」という心にもない言葉で都度誤魔化した。

     審神者がまだ小学校に通うくらいの年の頃、朝食に嫌いな食べ物が入っていてどうしても食べられない時の「どうしよう」は周りの目を盗んで長谷部が自分の皿と取りかえてなんとかした。止められたのに怖い映画を見てしまって眠れなくなった時の「どうしよう」は審神者の布団に潜り込み、眠るまでずっとそばにいてなんとかした。学校の宿題が終わらない時の「どうしよう」は宿題そのものを燃やすか教員をどうにかするかで悩んだが、提案したところ「そこまでしなくていい」と青い顔で言われたのでなんともならなかった。何とかできなかったのが、悔しかった。審神者がうっかり初期刀が大事にしていた皿を割ってしまったと泣きべそをかいた時の「どうしよう」にも悩んだ。皿を隠してしまっても審神者は忘れないだろうし初期刀もいずれ気付くだろう。自分がやったことにする、と言ったところで、審神者はやはりそこまでしなくていい、と言うかもしれない。悩んだ末に、ほんの小さなヒビが入った程度の皿を、もう一度床に落とし、真っ二つに割った。「俺がうっかり落として割った」初期刀にそう告げたものの、後ろで震えている審神者と、憮然とした表情の長谷部を何度か見比べた初期刀は、深い深い溜息を零すのみだった。結局、審神者がことの流れをつっかえつっかえ全て説明してしまったので、やはり何とかしたとは、言い難かった。
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    いなばリチウム

    DONE2月月刊主へし「主命以上」1つ目。
    元社畜っぽい中途採用審神者と長谷部。くっついてないけどいずれくっつく二人の初期の話。
    主命以上 元社畜中途採用審神者×長谷部(主へし未満)「主命とあらばなんでもこなしますよ」

     その言葉に、イラッとした。

    「なんでも?」
    「ええ、もちろん」

     自己紹介を、と告げれば名前と共にそう言ったへし切長谷部に、俺は溜息を吐いた。途端、長谷部の瞳が不安げに揺れる。

     指示待ち人間って好きじゃないんだよなあ。いや、刀剣男士はヒトじゃないんだけど。
     何でもします、って、部下の言葉としては従順でやる気があるようで、まあ実際やる気はあるにせよ、俺からすれば楽な方へ逃げている言葉に聞こえる。言ったことだけやるんじゃなくて、自分で考えて動いてくれないと、上司としては自分の仕事が増えるばっかりだ。最近はそういう若いやつらばっかりで……と、そこまで考えてまた溜息が零れた。何もかもが急すぎて、まだ考えが現世にいた頃に引きずられている。スカウトという形で審神者に就任したのはほんの数日前のことだった。前職と桁違いの報酬に釣られたのを早くも後悔し始めている。個性、と一言で片づけるには濃すぎる面々が続き、真面目そうなのが来たかと思えば部下としては好きじゃないタイプの性格、ときたら溜息も度々出るというものだ。
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    いなばリチウム

    DONE2月月刊主へし
    「地獄で〇〇を」やや「主命以上」要素
    過去に出した本「本丸炎上」内の本丸のその後話なのですが一応これだけで読めるようになっています。
    興味あれば「本丸炎上」もweb再録済なので読んで頂けると嬉しいです!
    該当ページはhttps://www.pixiv.net/novel/show.php?id=7728995の4P目ですがクズ審神者が色んな刀に夜伽を命じてる話なのでご注意下さい。
    地獄で〇〇を ほとんどの刀に嫌われていたと思う。
     
     最低で最悪の主だった自覚があった。そもそもなりたくて審神者になったわけではない。本丸は、俺にとっては刑務所の役割を果たしていた。審神者として政府に尽くせば、最低限の生活は保障される、そういう仕組みだ。死刑か労働かを強いられ、若かった俺は死ぬのが恐ろしくて、後者を選んだ。永遠に続くものとも知らずに。気付いた時にはもう遅く、俺の身体は人の理から外れ、ただただ同じような毎日を閉じられた空間で過ごすしか道はなかった。あんなに死にたくなかったのに、死にたい死にたいと日々願い、けれど自分で自分の命を断つことは出来ないよう縛られていた。だから、最悪の主になることを選んだ。暴力は疲れるし、人間の力で屈強な刀剣男士を傷つけられるとは思わなかったので、彼らを別の方法で辱め、傷つけることを選んだ。そちらの方が慣れていたし、楽だった。可哀想だと思う心は残っていなかった。そんなものがあったら俺は最初からここにはいない。
    1917

    いなばリチウム

    DONE言紡弐で展示してました!
    デキてる司書秋の司書室イチャイチャR18(本番無し)
    ありがと、秋声くん!「はい、これも署名が必要だってさ」
    「ええ~!? まだあんの!? 無理~~~!」

     机に追加で置かれた書類、書類、書類の束。減ったと思ったら追加されて仕事のわんこそば状態。駄々っ子のように両手を上げて降参ポーズの俺に、秋声君はいつものやれやれ顔をする。

    「そんなこと、僕に言われても困るよ。大体、サボっていた司書さんが悪いんじゃないか」
    「そうだけどさ~」

     確かに、調査任務の報告書を3、4回分溜めていたり、金貨や道具の整理をうっかり数か月程怠ってネコの手と金のネコの手がごっちゃごちゃに混ざっちゃって整理に手間取ったりしたけど。いや本当に俺が悪いな。しかし、自業自得とは言え、朝からトイレ以外は座りっぱなし、食事も秋声くんが食堂から持ってきてくれたサンドイッチを片手間に食べただけで、体力的にも精神的にも疲れきっているのが分かる。窓の外はとっくのとうに真っ暗で、談話室の方から明かりが漏れているのが分かる。時折わっと笑い声があがったりして、今日もなんとなく集まった面子で酒盛りなり談義なりしているのだろう。いいなあ。俺も一杯やりたいなあと思いながら正面を向くと、処理が終わった書類を秋声くんが回収しているところだった。署名済みの書類を集めて、「え、これだけ?」と失礼なことを言っている。効率なんてとっくに落ちてるんだから仕方ない。これでもたまっていた仕事の八割くらいは数か月遅れで処理したり隠ぺいしたりして片付けたんだ。あと残ってるものも明日普通にサボらずやれば間に合うくらいの量だし。さて、残っているものといえば。
    3927

    いなばリチウム

    PROGRESS・本丸が襲撃されている
    ・襲撃されたら本丸を消滅させることになってるみたいな感じ
    ・審神者は死ぬ
    ・肥前は間に合わない
    ・最期は一緒
    バッドエンドルート主肥 俺の片腕を切り落し、腹の深くまで刃を通した異形は、それで満足したのか、べっとりと赤にまみれた刃を一振りすると、低い咆哮を一つ、あとは振り向きもせず立ち去った。ばかだな、と思う。俺の刀達なら、確実に息の根を止めて、息絶えたのを確認してからその場を後にするだろう。生き残った敵が、例え致命傷を負っていたとしても息がある限りは何をしでかすか分かったもんじゃないのに。そういう小さなミスが命取りなんだよな。

     実際のところ、出血量は半端なくて足元は血の海だったし、意識も朦朧とはしていたけど、でも、俺はまだ生きていた。生きていて、利き腕は動いたので、緊急用に至急されている鎮痛兼止血兼気付薬兼、まあその他色々の、とりあえず為すべきことを為すまで動けるようになる薬を自分に投与する。緊急用で審神者一人につきひとつしか支給されないとあって、効果は絶大だった。痛みは引いて、遠のきかけていた意識もはっきりしてきた。出血もとりあえずは止まったようだ。とはいえ、ただそれだけで、なくなった腕は生えてこないし、流した血が戻ってくるわけではないからふらつくし、裂かれた腹から赤黒い何かが見えてるのはちょっとまずいと思うけど。幸い、執務室だったのでそのへんを探せば使えそうなものは出てきた。救急セットの中に包帯が入っていたけど、片手じゃうまいこと固定できないし、とりあえず中身が出なければいいかと判断して、腹にガムテープをぐるぐると巻き付けた。包帯で巻くよりはやりやすかったけど、片手でするには時間のかかる作業だった。四苦八苦しながらどうにか穴を塞いで、廊下に出る。腕って実は結構重かったんだな。うまくバランスがとれなくて、腕がある方に傾いてしまう。
    716

    いなばリチウム

    DONE晶くんオンリー4展示その2。
    おしゃべりなローズネタと続いてます。恋人になった晶くん×ヒースクリフその後。ぶるぶるローズネタですが震えを止めてくれるのはカインです。(ネタバレ)
    初めての この世界には、少し口にする分には問題ないけど、分量を間違えると恥ずかしい目に遭う食べ物というのがいくつか存在する。その内の一つが《おしゃべりなローズ》で、俺はつい最近まさに大変な目に遭ったばかりだ。結果的に、片思いだと思っていた人と実は両想いだったことが分かったので、悪いことばかりではなかったけれど、それでも思い出せば顔から火が出るくらい恥ずかしい経験ではある。
     そして、やっぱりローズの種類で、《ぶるぶるローズ》という、食べ過ぎると震えが止まらなくなり、誰かに抱き締めてもらわなければ止まらないという、大変なバラがあるらしいと知ったのも最近のことだ。けれどそれも料理に使うと良いアクセントになるというので、同じ過ちは繰り返すまいと、念入りに分量を量り、もちろん自分の分は味見した量も計算して取り分け、ローズのテリーヌを魔法使い達に振舞った。中には止める間もなくたくさん食べて震えが止まらなくなったブラッドリー(対処法を伝えた後すぐにくしゃみでどこかへ飛んで行ってしまった)や、むしろ知った上でたくさん食べて笑いながら震えていたムル(ひとしきり震えた後、「あきた!」と言ってシャイロックに飛びついていた)もいたけれど、概ね問題はなかった、はずだった。オーエンが、俺の口元にフォークを押し付けるまでは。
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    いなばリチウム

    DONE晶くんオンリー4展示です。
    晶くん×ヒースクリフ片思いからのハプニング。おしゃべりなローズネタです(お察し)
    双子も出る。
    そんなところもだいすきです きっと一目惚れだったと思う。同時に、一目惚れ、とあまりにも簡単な一言で表してしまっていいものか、と頭を悩ませてもしまうけれど。

     猫が騒ぐ、明るい満月の夜に、俺はこの世界にやってきた。夢みたいな出来事の連続で、そんな状況だったから余計に目に焼き付いたとも言える。初めて出会った魔法使いは二人だった。どちらにも目を奪われたけど、俺の腕を引いた冷たい指の感触を、俺の視線から逃げるように俯いたヒースクリフの綺麗な横顔を、今でも昨日のことのように鮮明に思い出せる。もちろん、その時は彼の顔をじっくり見るような余裕も図々しさもなかったけれど、映画の一コマ一コマのように、脳裏に焼き付いているのだ。美術品のように整った横顔、明かりに照らされてうっすらと輝く髪、宝石みたいな美しい瞳。初めて会った時、その肌は作りもののように青白く、だから余計に美術品みたいだと思ったけれど、魔法舎で生活するようになってからは、彼の年相応の純朴さだとか、控えめな性格だとか、かと思えば大胆な行動に出るところもあるのだとか、頬に赤みがさしている時の方が人らしくて可愛いとか、そういうことを知っていった。それからやっぱり、何をしていても綺麗で、でも彼は美術品ではないから、ふとした瞬間にこちらを向いてはにかんだり、声をあげて笑ったりするので、その度に心臓はドキドキとうるさくなる。
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    いなばリチウム

    DONEhttps://poipiku.com/594323/6821639.html
    この二人。くっついた後。
    https://twitter.com/inaba_hondego/status/1535233451342696448?s=20&t=iXXV6Tj16FvelFbYmuw40A
    ↑要約
    いなばさんとこの肥前くんはミュ肥前にどういう反応しますか?って聞かれた時のやつです!
    歌って踊れる肥前忠広なんていませんが? 広報活動の一環で行われている、刀剣男士たちによるライブ活動がある。他所の、それもやや特殊な本丸事情とはいえ、収益だとか、それによる審神者数の増加などはある程度まとめられ、データは広報活動による成果として全審神者に共有される。その中には、実際のライブ映像もあった。
     話を聞いた当初は、そんな広報活動ってあり? という空気だったものの、効果はあるようで、確かにライブを定期的に行うようになった年から新たに就任した審神者の数は右肩上がりだ。とは言え、故意なのか集計不足なのか、引退数については明記されてないので、効果というのはどこまで信じたものやら、という声もある。ただ、自分の本丸にもいる刀剣男士達と全く同じ姿形をした刀達が、アイドルのような衣装を着て歌ったり踊ったりする姿は不思議な感覚がありつつも、見ていて楽しいものだった。刀剣男士本人たちにも好評だと聞いたので、最近では他の本丸でそうしているように、ライブ映像は各自が至急されている自分の端末から見られるように設定してある。今日も、最近行われたライブ映像データを審神者が使用している薄型電子端末に保存し、刀剣男士達の端末からアクセス可能にしたところだった。全員へ簡単に連絡を済ませ、いそいそとデータを開く。今までも本丸にいる男士と同じ刀がライブ映像に出てくることはあったし、それを本人と見たりもしたが、今回は恋仲である一振りの別個体が出ているのでいつもよりも緊張した。後ろめたいわけではないが、そっとイヤホンを耳にさして音漏れしていないかどうかを確認してから、そっと再生ボタンを押す。
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    いなばリチウム

    DONE主肥だけど主肥未満のような。
    https://poipiku.com/594323/6821639.html
    ↑これの二人。まだデキてない。
    元ツイ⇒https://twitter.com/mob__178/status/1530166495048654848?s=20&t=UJpK7xz1Hwh4phyVPzoD8g
    気付いたら背負い投げされてた審神者と肥前君の主肥刀剣男士は主を傷つけない。
    刀剣男士は人間より強い。
    けれども主には逆らわない。
    逆らえないのではなく、逆らわない。
    殺せないのではなく、殺さない。(主本人が命じればまた話は別だが、この本丸には関係のない話だ)

    刀剣男士が本気になればただの人間である審神者は手も足も出ない。
    押し倒すことも、肌に触れることも、それ以上をすることもできない。
    刀剣男士はその力を行使して拒むことが出来る。
    ほとんどの場合そうしないのは、主であるから、というのが大きい。
    それほどまでに、刀剣男士にとっての”主”は深い意味を持っている。


     つまり、肥前が審神者を背負い投げで襖に投げつけてしまったのは不幸な事故だった。

    「ッ、あ……!」
     やっちまった、と思う。いつも、思った時には手遅れだった。ただ、そのまま床に叩きつけそうになったところを、背負った時点でどうにか方向転換したので、それほど痛みを与える結果にはならなかったはずだ。ならなかったと思いたいが、審神者が吹っ飛んでいった先の襖は、当然その重みと勢いに耐えきれず審神者の体と一緒に廊下に倒れてしまったし、物音を聞き付けて数振りが「なんだなんだ」と駆けつけたので手遅れという事実は変わらなかった。
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    いなばリチウム

    DONEできてる主へし
    審神者の誕生日
    本丸システムごりごりに妄想過多
    何でもない日 時折、思い出す程度の数字の並びだった。
     例えば、必要があり仕方なく広げた書類に、日付を書く時。

    (そういえば、今日だっけ)

     けれど、審神者の手が止まったのは一瞬だ。日付以外に必要な情報も書き記し、受付係に渡す。待機していたこんのすけはふんふんと頷きながら目を通し、「問題ありません」と頭を下げた。
     審神者の継続確認でなぜわざわざ現世の施設まで出向かなくてはいけないのかとか、どうしてこの時代にアナログ式なのかとか、答えてはもらえないそんな質問は最初の数年で出尽くしていた。

     政府から知らせがくる。心身ともに健康であるから、審神者を継続しても良いと許可が出る。許可が出たら、継続する意思があるかどうかを伝え、継続するのであればその手続きをする。実際のところ、継続しなければ身一つで現世に放り出されるだけだ。本丸という閉じられた世界で生活している内に年月の経過も分からなくなり、親兄弟や友人達と違う速度で生きている自分がその後どうなるのか想像もできないので、選択肢は一つだ。そんな事実に気付いて取り乱したこともあったが、今となってはそれも遠い過去のことだった。書いた日付も、意識すれば思い出すが、審神者になる際に本名と一緒に捨てた情報だ。
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    いなばリチウム

    DONEhttps://poipiku.com/594323/5954251.html
    これと同軸の話。(読まなくても大丈夫!)
    付き合いたてほやほやのフィガ晶+双子の話。
    付き合いたてのフィガ晶+双子 フィガロと、いわゆる恋人としてのお付き合いが始まった。まさかそういうことになると思わなくて、「じゃあ、改めて、これからよろしくね、賢者様」とフィガロが差し出してくれた手を反射的に力いっぱい握ってしまった。
    「は、はい! よろしくお願いします!!」
    「あはは、情熱的だね」
     運動部の挨拶じゃないんだから、と我ながら恥ずかしくなるくらい声を張ってしまった俺に、フィガロは優しい笑顔を向けてくれた。

     それで、何が変わったかというと、別に、大きな変化はなかった。

     他の人に気を遣わせてしまったら申し訳ないし、と二人の仲を誰にも言ってはいないものの、人前でも、二人きりの時にも、今までと距離感は変わらなかった。ちょっと寂しい気がしたけれど、いやいや! と俺は首を振る。付き合うにあたって、あれをしよう、これをしようと具体的に話したわけじゃない。それに、前も、今も、俺はフィガロのことを好きなのと同じ位、彼と一緒に過ごす時間が大好きだ。一緒にお茶をしたり、買い物したり、眠れない夜にはとりとめのない話をしたりする、そんな時間が。それに、何一つ変わらないわけじゃない。人込みの多いところで、はぐれないようにという気持ちもあって手を繋げば、小さく笑って握り返してくれたりだとか、シャイロックのバーに行く回数が少し減って、その替わりに俺の部屋でのんびり過ごすことが増えたりだとか。少しずつの変化だけれど、その一つ一つが愛おしかった。それに、フィガロは気さくに接してくれるけど、俺よりもずっと、ずっと長生きしている魔法使いなのだ。他の人を知らないから分からないけれど、長寿の魔法使いから見れば俺はきっと子供みたいなもので、だから、
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    いなばリチウム

    DONE肥南と主へしとむつんば要素を含みます(混ぜすぎ)
    タイトル通りひぜなんにちょっかい出すというか巻き込まれた主へしとむつんばの話。
    肥南にちょっかい出す主へしの話「肥前くん、主が呼んでいたよ」
     振り返る。肥前はいつだって南海の顔を真っ直ぐに見るのに、ここのところ、そうするとほんの少しだが目を逸らされることが増えた気がした。なんだよ、と思う。思うだけだ。
    「おれを? なんだって?」
    「さあ。部屋に来て欲しいと言っていたから、直接聞いてみてはどうかな」
    「……分かったよ」
     つまみ食いに忍び込んだ厨を追い出され、時間を持て余していたところだった。ちょうどいいか、とそのまま審神者の部屋へ向かう。肥前がこの本丸に来たのは特命調査の折であった。その時点でも刀の数は多かったが、今や百に届く程の刀剣男士が生活している本丸だ。近侍を務める刀は数振りで、ひとりひとりと話す時間が取れないことを憂いた審神者はこうして時々自室に刀剣男士を呼び出すのだ。不満はないかとか、最近どうだとか、肥前にとってはどうでもいい話ばかりではあったが、何度か呼び出しを無視すると機動の早い近侍が文字通り首根っこを捕まえに来る上に最近では部屋に行くと茶菓子やちょっとしたつまみをふるまわれる。食べ物で釣られている自覚はあったが、適当に話をしていれば損はないのだ。久方ぶりに大人しく呼ばれてやるか、という気持ちだった。
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    いなばリチウム

    MOURNING六年近く前(メモを見る限りだと2016年4月)に利き主へし小説企画で「初夜」をテーマに書いた話です。他にもいくつか初夜ネタを書いてたのでまとめてpixivに載せるつもりだったんですけど全然書ききれないので一旦ここに載せておきます!
    当時いつも書いてた主へしの作風とすこし雰囲気変えたので楽しかったし、性癖の一つでもあったので今読んでも好きな話です。
    CPではない二人の話です。長谷部が可哀想かも。
    夜な夜な(主へし R18) その日は朝から体がだるかった。
     目を覚ますと、頭は内側から叩かれているように錯覚するぐらい痛み、窓から差し込む朝日や鳥の囀りがひどく耳障りで、長谷部はそう感じてしまう思考と体の不調にただただ戸惑った。しかし、昨日はいつも通り出陣したはずだったし、今日もそれは変わりない。死ななければどうということはないが、あまりひどければ出陣に、ひいては主の戦績に支障が出る。長引くようであれば手入れ部屋へ入ることも検討しなければ、と考える。
     着替えてからだるい体を引きずって部屋を出ると、「長谷部、」と今まさに長谷部の部屋の戸に手を掛けようとしたらしく、手を中途半端に宙に浮かせて困ったように佇んでいる審神者がいた。無意識に背筋が伸びる。
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    いなばリチウム

    DONE情けない攻めはかわいいねお題ガチャ
    https://odaibako.net/gacha/1462?share=tw
    これで出たお題ガチャは全部!微妙に消化しきれてない部分もあるけどお付き合いいただきありがとうございました!
    情けない攻めの審神者×長谷部シリーズ④・長谷部にハイキックで倒されるモブを見て自分も蹴られたくなる審神者
    ・暴漢に襲われかけた審神者と、その暴漢を正当防衛の範囲内で捻りあげ社会的死に追い込み審神者を救出する強くて怖い長谷部。


    【報道】
     
     政府施設内コンビニエンスストアで強盗 男を逮捕

     ×日、政府施設内コンビニエンスストアで店員に刃物を突き付け、現金を奪おうとしたとして無職の男が逮捕された。
     男は、施設に出入りを許可された運送会社の制服をネットオークションで購入し、施設内に侵入したと思われる。運送会社の管理の杜撰さ、政府施設のセキュリティの甘さが浮き彫りになった形だ。
     店内にはアルバイトの女性店員と審神者職男性がおり、この男性が容疑者を取り押さえたという。女性店員に怪我はなかった。この勇敢な男性は本誌の取材に対し「自分は何もしていない」「店員に怪我がなくてよかった」と答えた。なお、容疑者は取り押さえられた際に軽傷を負ったが、命に別状はないという―――
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    いなばリチウム

    DONE情けない攻めはかわいいねお題ガチャより
    最高なので皆推しCPで是非
    https://odaibako.net/gacha/1462?share=tw
    >長谷部のことがずっと昔から大好きなので今が信じられなくなるも、そのたびに長谷部から熱いキスをかまされて”理解”する審神者
    >長谷部からどんなときでも何をしてても生まれ変わっても見つけると宣言されて抱いて……となる審神者(もちろん抱かれるのは長谷部)
    情けない攻めの審神者×長谷部シリーズ②「……信じられないなあ」
     思わず零れた、それは独り言だった。けれど聞きつけた長谷部が顔を上げて、「何がですか?」と首を傾げたので、俺は他意なく、昔のことを思い出して、と話す。
    「きみが、俺のことを好きだってことが。……あっ、長谷部を信じてないとかそういう話じゃなくてね。この状況が、嬉しすぎて信じられないというか……」
     思い出せば赤面ものだけど、長谷部に好きだと伝えた時のことを思い出す。告白の目的は、付き合おうとかそういう感じではなく、俺は想いを告げることで長谷部を遠ざけようとしていた。主である俺が臣下である長谷部のことを好きになってしまったという告白で、引かれるとか蔑まれるとかは想定していても、まさか「俺もあなたのことが好きです」なんて言われた上に行動で示されるなんて夢にも思わなかったのだ。俺がきみを好きで、きみも俺のことを好きだなんて、すごくすごく、信じられないくらいの幸福だ。毎日目覚める度に、俺はめちゃくちゃ自分に都合の良い夢を見ていたのでは? もしくは妄想では? と考え込んでしまう。長谷部を信じていないということでは断じてない。言葉で伝えあって、唇を重ねて、何ならもっと先までしているのに、実感を上回る幸福量に、なんというか、完全にキャパオーバーになっているのだと思う。
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    いなばリチウム

    DONE情けない攻めはかわいいね お題ガチャより
    https://odaibako.net/gacha/1462?share=tw
    >長谷部に告白している最中、好きすぎて感情が溢れて泣き出す審神者
    情けない攻めの審神者×長谷部シリーズ① 長谷部のことが、ずっと好きだった。顕現した瞬間に綺麗で頼りになりそうな人が来てくれて良かった、好き、って思ったし、出陣すれば、時には無茶することもあったけどいつだって部隊長として他のみんなを引っ張ってくれたし、戦う姿は凛々しくてかっこよくて好き、って思ったし、近侍になって細かな事務作業やサポートを丁寧にしてくれる上にいつも俺のことを気遣ってくれて優しい、好き、って思ったし、とにかく好きじゃない瞬間がなかった。最初は、単純に臣下への好意だと思っていたけれど、そうじゃないよこしまな気持ちが溢れてくるのを止められなくて、枕や下着を濡らすことも一度や二度じゃなくて、そんな自分が嫌で嫌で仕方なかった。俺は主で、長谷部は臣下なのに、いわば上司が部下によこしまな気持ちを抱いているなんて、それも抑えられている内はいいけれど、いつか勢い余って長谷部を押し倒してしまいそうでこわかった。こわいのは、そんな自分もだけど、超絶仕事が出来て優秀で気遣いの天才の長谷部のことだから、主の俺に対しても気遣って拒絶しないかもしれないことだ。そんなの、長谷部が可哀想だし、俺は世界一最低の主だ。だから、せめて勢い余らない内に長谷部に心の内を明かして、落ち着いて話が出来るうちに長谷部を遠ざけるしかないと思ったのだ。理由を言わずにそうすることも出来たけど、長いこと近侍を務めている彼を急に遠ざけたりすれば彼自身が自分の中に非を探して気落ちしてしまうと思った。長谷部は全然悪くないのだから、理由を言わないのはあまりにも自分勝手だ。嫌われてもいい。気持ち悪がられてもいい。俺の耳に入らない範囲なら、「上司に性的な目で見られてるらしくてまじさいあくきもい」みたいな陰口叩いててもいい。一方的な好意の吐露って時点で絶対きもいよなとは思うけど、俺が過ちを犯す前に手を打つしかない。
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    いなばリチウム

    DONE12/18「またとない遺志に告ぐ」展示
    北時代のフィガロ信者魔法使いが石になる話。
    フィガロに自分の石食べて欲しい信者絶対いるよね、と友達と盛り上がったのが元
    モブ信者視点。CP要素なし。
    イベントお疲れ様でした!アフター用に全体公開にしました。
    石の話 嗚呼、偉大なる魔法使いフィガロ様。あの御方が我らの前に姿を見せなくなってもう何十年経つだろうか。噂によると一年に一度、限られた場所に限られた時間だけお姿をお見せになるということだったがあの御方の高貴なる御姿を見られるのはやはり限られた者達だけだった。魔力が乏しく、かと言って人には紛れられず、魔法使いとも慣れ合えず、ただただあの御方への憧れと崇拝だけでここ数年生き延びてきただけの自分にはそんな伝手があるわけもなく、けれども残った寿命もあと僅かというところで幸運なことにあの方が暮らすという南の村に辿り着くことができたのだった。
     かつてその強大な力を征服の為に振るった方がこんな辺鄙な村に、と疑問に感じたが、すぐに首を振って疑問ごと浅ましい思いを振り払った。あの御方の爪の先程の魔力しか持たない自分ごときがどうしてその行動を疑問に思うなどしたのだろう。あの御方の仰ることなされること全て、あの御方にしか理解できない意味や思いが込められているのは分かり切っているのに。余計なことを考えるとただでさえ残り少ない寿命を無駄にすり減らしてしまう。目的はただ一つ。あの御方の御傍にいられず、その尊き行いを人の噂でしか知ることのできない自分には贅沢すぎる目的であり、願いでもあった。あの御方の一部になりたい。こんな自分でも多少の魔力は残っているだろう。石になってしまうのは恐ろしいことだが、それよりも恐ろしいのは、他の見ず知らずの魔法使いの肥やしになってしまうことだった。どうせ糧になるのなら、フィガロ様の糧になりたい。目の前に魔法使いの石が転がっていたら、あの御方はどうするだろうか。どうか、どうか糧にして欲しい。その御手で石になった俺をつまみ上げ、眺め、なんと弱い魔法使いの死体だと嘲笑い、気紛れに唇を開けて下されば俺は、そこで初めて、
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