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    いなばリチウム

    @inaba_hondego

    小説メイン
    刀:主へし、主刀、刀さに♂
    mhyk:フィガ晶♂
    文アル:はるだざ、菊芥、司♂秋
    文スト:織太

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    いなばリチウム

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    情けない攻めはかわいいね お題ガチャより
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    >長谷部に告白している最中、好きすぎて感情が溢れて泣き出す審神者

    #主へし
    master
    #主刀
    mainBlade

    情けない攻めの審神者×長谷部シリーズ① 長谷部のことが、ずっと好きだった。顕現した瞬間に綺麗で頼りになりそうな人が来てくれて良かった、好き、って思ったし、出陣すれば、時には無茶することもあったけどいつだって部隊長として他のみんなを引っ張ってくれたし、戦う姿は凛々しくてかっこよくて好き、って思ったし、近侍になって細かな事務作業やサポートを丁寧にしてくれる上にいつも俺のことを気遣ってくれて優しい、好き、って思ったし、とにかく好きじゃない瞬間がなかった。最初は、単純に臣下への好意だと思っていたけれど、そうじゃないよこしまな気持ちが溢れてくるのを止められなくて、枕や下着を濡らすことも一度や二度じゃなくて、そんな自分が嫌で嫌で仕方なかった。俺は主で、長谷部は臣下なのに、いわば上司が部下によこしまな気持ちを抱いているなんて、それも抑えられている内はいいけれど、いつか勢い余って長谷部を押し倒してしまいそうでこわかった。こわいのは、そんな自分もだけど、超絶仕事が出来て優秀で気遣いの天才の長谷部のことだから、主の俺に対しても気遣って拒絶しないかもしれないことだ。そんなの、長谷部が可哀想だし、俺は世界一最低の主だ。だから、せめて勢い余らない内に長谷部に心の内を明かして、落ち着いて話が出来るうちに長谷部を遠ざけるしかないと思ったのだ。理由を言わずにそうすることも出来たけど、長いこと近侍を務めている彼を急に遠ざけたりすれば彼自身が自分の中に非を探して気落ちしてしまうと思った。長谷部は全然悪くないのだから、理由を言わないのはあまりにも自分勝手だ。嫌われてもいい。気持ち悪がられてもいい。俺の耳に入らない範囲なら、「上司に性的な目で見られてるらしくてまじさいあくきもい」みたいな陰口叩いててもいい。一方的な好意の吐露って時点で絶対きもいよなとは思うけど、俺が過ちを犯す前に手を打つしかない。
     そういうわけで、俺は長谷部に告白した。万が一にも勢い余ってしまわないためにも、わざと部屋の戸を開け放して、長谷部がいつでも逃げられるように、仲間に助けを求められるように、もしくは俺を外に投げ飛ばしてもいいようにした。外の池あたりだったら多分そんなに怪我もしないはずだ。
    「きみのことが、すきです」
     落ち着いて冷静に話をして、今後の俺なりの対策についてもスムーズに話を進めようと思ったのに、「きみのことが、」のあたりで鼻の奥がツンとして、「す」で目頭が熱くなった。「き」で目の前が歪み、「です」はもうほとんど嗚咽だった。長谷部のどんなところが好きかを思い出そうとすれば、共に歩んできた数年間が走馬灯のようにぐるぐると脳裏を過った。長谷部の笑顔が好きだった。不甲斐ない俺はきみを困らせることもあった。怒らせることもあった。それでもいつだって俺を助けてくれて、見守ってくれたきみが好きだった。好きだったし、これから先もずっと好きだ。けれど、主である俺が臣下であるきみに不純な気持ちを抱き続けているのはどう考えても不健全だし、きみに不快な思いをさせる前に距離を置かせてほしい。自分勝手でごめん。きみは何も悪くない。出陣も内番も今まで通りだ。ただ一番傍にいる時間が長い近侍をこれ以上任せるのは、あまりにも申し訳ない。
     そんなようなことを、俺は嗚咽混じりに、涙と鼻水と垂らして長谷部にティッシュを渡されつつ言った。
    「……ええと、戸を閉めても?」
     長谷部は最初こそぽかんとしていたものの、開口一番それだったので俺は「なにをいっているんだ!」と慌てた。密室で、部下に好意を持っている上司と二人きりなんてやばすぎるでしょ。俺が部下の立場だったとしても鳥肌ものだ。若干持ち直したものの、涙でぐちゃぐちゃになった見苦しい顔で、それでも言った。すると、長谷部は目を伏せて少し考える素振りをしたのち、顔を上げて言った。
    「では、お慕い申し上げております、と言えば納得して貰えますか?」
    「……えっ?」
     びっくりして、涙が引っ込んだ。硬直した俺を横目に、長谷部は止める間もなく戸を閉めると、俺のすぐ横に来て、ティッシュでも間に合わずしっとりと濡れてしまっている手を握った。
    「ひっ」
     思わず手を引こうとしたけれど、びくともしない。びくともしないけれど、痛い程の力でもない。さすが強くてたくましくて優しい長谷部、好き。けれど長谷部の、手袋越しでも分かるくらい冷たい手が、俺の手を握っている。その事実だけで、心臓が口から出そうだった。長谷部が、俺の目を見据えて言う。いつまで経っても見慣れない、凛々しくて、惚れ惚れするような美しい顔が、間近にあった。
    「主、あなたをずっと前からお慕いしておりました。主従の関係でありながらこのような感情を抱くことは褒められたものではありません。臣下失格です。ですから、ずっと黙っておくつもりでしたが……俺の勘違いでなければ、主は俺と同じ気持ちだと、今、そう言って下さったのですよね?」
     藤色の瞳が、真っすぐに、逸らさず俺の目を見据えていて、やばい、綺麗、吸い込まれそう好き、としか思わなかった俺は、それでもぎこちなく頷いた。頷いたが、長谷部の言葉を反芻して、信じられない気持ちでいっぱいになる。長谷部と俺が、同じ気持ち? つまり、長谷部も俺のことが好き、ってコト? そんな都合のいいことある? 待って、長谷部は優しいし、気遣いの出来る刀だから、そんな、
    「気遣い?」
     ぴく、と長谷部の眉が顰められる。掴まれた手を引かれ、為す術もなく抱き締められる。えっ!? やばいこのまま死んでもいい。そう思った瞬間、噛みつかれるような口付けに襲われた。
    「っん、はせ、ん、んっ!?」
     唇を食まれ、硬く閉じたそこをべろりと舐められる。あまりの出来事に、思考が完全に停止した。思わずぽかんと開いた唇から舌先を差し込まれ、吸われる。
    「ま、って、んむ、む、ぅ、う~~~っ!」
     俺の焦った声と、長谷部の吐息だけが耳を打った。強く抱き締められて、唇を塞がれて、呼吸も、胸も苦しい。思わず長谷部の胸板を押すと、名残惜しそうに舌先が離れていった。
    「っ、は」
     肩を大きく上下させて酸素を取り込む。「すみません」と頭を下げる長谷部の姿がぐにゃぐにゃに歪んでいる。俺がまた泣いているからだ。
    「気遣いで、こんなことはしません」
     手袋を外した指が、溢れてくる涙を拭う。
    「……あるじ、貴方以外には、こんなこと」
     濡れた目尻に、頬に、そしてまた唇に、長谷部は触れるだけの口づけをして、優しく笑った。
    「貴方のことが、好きです。心から」
     俺の涙腺は再び崩壊して、長谷部をたいそう困らせたのだった。
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    いなばリチウム

    TRAININGhttps://poipiku.com/594323/10668650.html
    これの続き。騙されやすい審神者と近侍の長谷部の話。
    だまされやすい審神者の話2 疎遠になっても連絡をとりやすい、というタイプの人間がいる。

     それがいいことなのか、はたまたその逆であるなのかはさておき、長谷部の主がそうだった。学校を卒業し、現世を離れてから長いが、それでも時折同窓会やちょっとした食事会の誘いがあるという。ほとんどは審神者業の方が忙しく、都合がつかないことが多いけれど。今回はどうにか参加できそうだ、と長谷部に嬉しそうに話した。
     もちろん審神者一人で外出する許可は下りないので、長谷部が護衛として同行することになる。道すがら、審神者は饒舌に昔話をした。学生の頃は内気であまり友人がいなかったこと、大人しい自分に声をかけてくれたクラスメイトが数人いて、なんとなく共に行動するようになったこと。卒業する時に連絡先を交換したものの、忙しさもありお互いにあまり連絡はしていなかったこと。それでも年に一度は同窓会や、軽く食事でもしないかという誘いがあること。世話になっている上司を紹介したいと何度か打診され、気恥ずかしさはあったものの、紹介したいと思ってもらえることは嬉しかったこと。今回やっと予定が合い、旧友とその上司に会えること。
    1820

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    MOURNING六年近く前(メモを見る限りだと2016年4月)に利き主へし小説企画で「初夜」をテーマに書いた話です。他にもいくつか初夜ネタを書いてたのでまとめてpixivに載せるつもりだったんですけど全然書ききれないので一旦ここに載せておきます!
    当時いつも書いてた主へしの作風とすこし雰囲気変えたので楽しかったし、性癖の一つでもあったので今読んでも好きな話です。
    CPではない二人の話です。長谷部が可哀想かも。
    夜な夜な(主へし R18) その日は朝から体がだるかった。
     目を覚ますと、頭は内側から叩かれているように錯覚するぐらい痛み、窓から差し込む朝日や鳥の囀りがひどく耳障りで、長谷部はそう感じてしまう思考と体の不調にただただ戸惑った。しかし、昨日はいつも通り出陣したはずだったし、今日もそれは変わりない。死ななければどうということはないが、あまりひどければ出陣に、ひいては主の戦績に支障が出る。長引くようであれば手入れ部屋へ入ることも検討しなければ、と考える。
     着替えてからだるい体を引きずって部屋を出ると、「長谷部、」と今まさに長谷部の部屋の戸に手を掛けようとしたらしく、手を中途半端に宙に浮かせて困ったように佇んでいる審神者がいた。無意識に背筋が伸びる。
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    いなばリチウム

    DONE情けない攻めはかわいいねお題ガチャ
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    これで出たお題ガチャは全部!微妙に消化しきれてない部分もあるけどお付き合いいただきありがとうございました!
    情けない攻めの審神者×長谷部シリーズ④・長谷部にハイキックで倒されるモブを見て自分も蹴られたくなる審神者
    ・暴漢に襲われかけた審神者と、その暴漢を正当防衛の範囲内で捻りあげ社会的死に追い込み審神者を救出する強くて怖い長谷部。


    【報道】
     
     政府施設内コンビニエンスストアで強盗 男を逮捕

     ×日、政府施設内コンビニエンスストアで店員に刃物を突き付け、現金を奪おうとしたとして無職の男が逮捕された。
     男は、施設に出入りを許可された運送会社の制服をネットオークションで購入し、施設内に侵入したと思われる。運送会社の管理の杜撰さ、政府施設のセキュリティの甘さが浮き彫りになった形だ。
     店内にはアルバイトの女性店員と審神者職男性がおり、この男性が容疑者を取り押さえたという。女性店員に怪我はなかった。この勇敢な男性は本誌の取材に対し「自分は何もしていない」「店員に怪我がなくてよかった」と答えた。なお、容疑者は取り押さえられた際に軽傷を負ったが、命に別状はないという―――
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    「まぁ、初めてじゃないしな。これまでも何振りか女になってるし、毎回ちゃんと戻ってるし」
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     気にすんな、といつものように書類に視線を落とした主に、地面を震わせるような声が出た。身体が変化して、それが戻ったことを実際に確認したのだろうかと考えが巡ってしまったのだ。

    「変な勘ぐりすんなよ」
    「変とは?」
    「いくら男所帯だからって女になった奴に手出したりなんかしてねーよ。だから殺気出して睨んでくんな」

     そこまで言われてしまえば渋々でも引き下がるしかない。以前初期刀からも山鳥毛が来るまでどの刀とも懇ろな関係になってはいないと聞いている。
     それにしても、やけにあっさりしていて面白くない。主が言ったように、人の美醜には詳しくはないがそこそこな見目だと思ったのだ。

    「あぁでも今回は別な」
    「何が別なんだ」
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    今日はハロウィンだ。いつのまにか現世の知識をつけた刀たちによって朝から賑やかで飾り付けやら甘い匂いやらが本丸中にちらばっていた。
    いつもよりちょっと豪華な夕飯も終えて、たまには大倶利伽羅と遊ぶのもいいかと思ってあいつの部屋に行くと文机に向かっている黒い背中があった。
    「と、トリックオアトリート!菓子くれなきゃいたずらするぞ」
    「……あんたもはしゃぐことがあるんだな」
    「真面目に返すのやめてくれよ……」
    振り返った大倶利伽羅はいつもの穏やかな顔だった。出鼻を挫かれがっくりと膝をついてしまう。
    「それで、菓子はいるのか」
    「え? ああ、あるならそれもらってもいいか」
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    「うーん、部屋戻るかお前が許してくれるなら少し話していこうかと思ってるけど」
    ちょっとだけ不服そうな顔をした大倶利伽羅は文机に向き直るとがさがさと音を立てて包みを取り出した。
    「お、クッキーか。小豆とか燭台切とか大量に作ってたな」
    「そうだな」
    そう言いながらリボンを解いてオレンジ色の一枚を取り出す。俺がもらったやつと同じならジャックオランタンのクッキーだ。
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    いなばリチウム

    DONE情けない攻めはかわいいね お題ガチャより
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    >長谷部に告白している最中、好きすぎて感情が溢れて泣き出す審神者
    情けない攻めの審神者×長谷部シリーズ① 長谷部のことが、ずっと好きだった。顕現した瞬間に綺麗で頼りになりそうな人が来てくれて良かった、好き、って思ったし、出陣すれば、時には無茶することもあったけどいつだって部隊長として他のみんなを引っ張ってくれたし、戦う姿は凛々しくてかっこよくて好き、って思ったし、近侍になって細かな事務作業やサポートを丁寧にしてくれる上にいつも俺のことを気遣ってくれて優しい、好き、って思ったし、とにかく好きじゃない瞬間がなかった。最初は、単純に臣下への好意だと思っていたけれど、そうじゃないよこしまな気持ちが溢れてくるのを止められなくて、枕や下着を濡らすことも一度や二度じゃなくて、そんな自分が嫌で嫌で仕方なかった。俺は主で、長谷部は臣下なのに、いわば上司が部下によこしまな気持ちを抱いているなんて、それも抑えられている内はいいけれど、いつか勢い余って長谷部を押し倒してしまいそうでこわかった。こわいのは、そんな自分もだけど、超絶仕事が出来て優秀で気遣いの天才の長谷部のことだから、主の俺に対しても気遣って拒絶しないかもしれないことだ。そんなの、長谷部が可哀想だし、俺は世界一最低の主だ。だから、せめて勢い余らない内に長谷部に心の内を明かして、落ち着いて話が出来るうちに長谷部を遠ざけるしかないと思ったのだ。理由を言わずにそうすることも出来たけど、長いこと近侍を務めている彼を急に遠ざけたりすれば彼自身が自分の中に非を探して気落ちしてしまうと思った。長谷部は全然悪くないのだから、理由を言わないのはあまりにも自分勝手だ。嫌われてもいい。気持ち悪がられてもいい。俺の耳に入らない範囲なら、「上司に性的な目で見られてるらしくてまじさいあくきもい」みたいな陰口叩いててもいい。一方的な好意の吐露って時点で絶対きもいよなとは思うけど、俺が過ちを犯す前に手を打つしかない。
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    これで出たお題ガチャは全部!微妙に消化しきれてない部分もあるけどお付き合いいただきありがとうございました!
    情けない攻めの審神者×長谷部シリーズ④・長谷部にハイキックで倒されるモブを見て自分も蹴られたくなる審神者
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