溢れた、零した アルコール分は低めの、チューハイの缶を傾けた師匠が機嫌良さげにケタケタと笑った。張り切って作りすぎたせいで大きめのボール一杯分になってしまった生地を笑いながら冷蔵庫にあったウインナーやらを放り込んで一応焼き上げたたこ焼きのようなものは流石に二人じゃ食べきれない量になってしまってまだホカホカと湯気を上げながら皿の上に積み上がっている。
「これ、やっぱ作りすぎだろ」
酔っているせいか、いつもより数段笑いのツボが浅い師匠がへへ、と笑いながら言った。その顔が、あまりにも愛おしくて、僕は思わず口にしていた。
「師匠、好きです」
「は、え? なに、どういう、いや……え?」
「好きです」
「いや聞き返したわけじゃなくてだな」
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