胡蝶の夢文明の発達していないとある惑星。銀河戦士団はこの一ヶ月ほど、連なる岩棚の影を仮拠点としていた。数日前の魔獣達との戦いは勝利。だが常に先を見越して行動を起こす団長のオーサーは、油断ならぬと警戒態勢を取らせつつ、団員達は暫しの休戦の日々を過ごしていた。
標高が少し高い拠点。今しがた吹いた少々強めの風には色んなものが焼け焦げた臭いがまだ混じっている。
その直後、ふと目の前にふよふよと近づく者があった。風に遊ばれ忙しく翅をバタつかせる一匹の白い蝶。俺は何となく腕を伸ばしてみる。すると蝶はグローブの指先にピタリと停まった。ーー中々飛び立たないので十数秒間の後にフッと息を吹きかけて遠ざける。蝶が空に混じって消えるを見つめて、戦火に巻き込まれなかったのを安堵してやる。一応、俺の背にもあの生き物と同じ様な翅があるからか、ちょっとした情けだ。
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