特別な一日「・・・遅い」
三月某日、午後一時十分。
杉下は駅前でとある人物を待ちぼうけていた。「もういる」と簡単にメッセージを送ったが未だに返信はなく、辺りを見回してもそれらしき姿も見えない。しょうがないと思いながら携帯に電話をかける。一コール、二コール、三コール・・・出ない。
「ちっ・・・迎えに行くか」
心を落ち着かせ、せっかくの初デートだと気を引き締めてその人物のもとへ足を踏み出した。
そう、今日は杉下と桜、たった二人きりの初めてのお出かけの日である。
事の発端は数日前の教室での出来事だった。
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「桜〜これお返しな!」
「あ、俺も俺も」
「はいホワイトデー」
「あ、待ってオレも持ってきた、はい桜」
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