「夏の名残、秋の気配」 夜が少しずつ忍び寄る遠くの空が、じんわりと赤く焼けている。
昼間の気温がそのまま続くかと思っていたのに、日が暮れるを待つようにやや気温は下がり頬を撫でる風も秋の気配がしていた。
「どうして今日はそんなに離れて歩くわけ?」
いつかはされるだろうと思っていた問いが飛んできて、わかりやすく私の体はびくりとなった。
どう見ても不自然だ。わかっている。
普段はもっと近くを歩いているし、それはただの幼馴染だったほんの一ヶ月前だってそうだった。
それが久しぶりに一緒に下校できると浮かれておきながら、歩き出した途端急に距離をとったのだから不思議に思われても仕方がない。
「別に理由はないけど」
指摘されたからにはいつもの距離に戻るしかなかった私は、わかりやすい誤魔化し方をして彼のすぐ横に並ぶ。
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