僕があなたの傘になる「僕があなたの傘になります」
言った! 言えたぞ! どうだ参ったか赤井秀一っ。
内心の得意顔を隠して、神妙な表情で返事を待つ。振り向いた赤井はフッと笑った。
「今は雨は降っていないが……日傘にもなってくれるのかな」
「え、あ、はい、まあ」
ドキドキして言葉がまともに出てこない。僕のプロポーズっていうか交際申込みっていうか告白は、伝わっているんだろうか。
肌寒い。南の方から順次梅雨入りして、東都にも雨の日が増えてきた。緊張しているせいか、半袖では心許ない気がする。
緑の瞳は、僕をじっと見ている。優しい、切ない、もどかしい色。その強さ故に背負ってしまった悲しみは、奥に隠している。もう、一人で泣かないで。僕にだけは子供みたいな振る舞いを見せてくれるなら、涙も、僕にだけ見せて。濡れないように、凍えないように、天から隠して寄り添ってあげたい。
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