スイカの日 インターフォンを押し、ドキドキしながら待つ。ガチャッとドアが開いた。有希子さんか工藤先生だろうと顔を上げたら、第三の人物だった。
「やあ、よく来たな。暑いだろう。入ってくれ」
キラキラ輝く笑みにぽーっとなってしまい、荷物を抱いたままふらふらと足を踏み入れた。
「顔が赤いぞ。大丈夫か」
「う」
ぺたっと額に置かれた手は、ひんやりして気持ちがいい。
「あかい……」
「君は働き過ぎだからな。今、コーヒーゼリーを作っていたんだ。一時間もすれば冷えるから、食べていくといい」
「はぁ」
背中を支えられ、雛鳥のように素直に従ってしまう。リビングの手前でハッと我に返った。
「今日は、沖矢さんに用があるんです」
「俺が代わりに聞く。とにかく座った方がいい」
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