貴族と言っても千差万別だが、我が家は中の中から上、どう頑張っても上流貴族にはなりきれない。だが、皇国軍の軍人を多く輩出しており武勲だけはやたらある、そんな家だった。
おかげで何とか神皇やその家族の住まう宮廷に行儀見習いとして滑り込めた。逆に周りの行儀見習いは私より格上──私より格下は上流貴族へ行儀見習いに行くので──しかいない。だが、この数年だけでも頑張れば箔がつくし、上手く行けば良い人に見初められるかもしれない。そんな思いで上手くサボる先輩達の尻拭いをしながら真面目に働いていた。
ある日の事、ディオン様の侍女が1人辞した。それにより空いた枠を狙っての点数稼ぎ、これが本当に酷かった。元々侍女を狙目指して真面目に働いていた人達はいい。今まで男を捜しに来ただけの女達が特大の玉の輿に乗れるチャンスを狙い始めたのだ。いくら廃嫡されているとは言え現神皇の家族である事に代わりはないし、竜騎士の叙任を受け更に聖竜騎士の称号まで与えられた一流の騎士だ。そこらの貴族を捕まえるよりずっと贅沢な生活ができるだろう。
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