10月4日(10日目)10月4日(10日目)
13時、そろそろ起きる頃合いだと思ったが、熟睡している。もう少し休ませてやろう。
20時、あえて遅く来てみた。彼は眠っているが、どうやら先程まで起きていたらしい。
フードボウルに入っていた血液で、壁に絵が描かれている。ほとんどが顔だ。あの一際大きく描かれた面々は、彼の敬愛する竜大公と竜子公、その出来損ないの息子だろうか。他にも、見知った古き血ら、竜の一族と思われる吸血鬼らが描かれている。謎のモジャモジャもいる。彼だけ人間のようだ。隅の方に目を移すと、某ニヤケ面も雑に描かれていた。これらは自我を保つ為に行なったのだろうか。実に興味深い行動だ。
「こんばんは、ノースディン。」
牢に入る。鉄格子側を向き、右を下にして横たわる彼へ静かに近づいていく。狸寝入りだ。氷水でも掛けてやるか。そう考えながら、彼の顔の真横へ足を運んだ時だった。
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