夢の境目女が、泣きながら男の首を切っている。
鉈と鋸で切っている。
ついに千切れた首が、ころころと
私の足元に転がってきた。
気がつくと、もう女はいない。
胴体もない。
血だまりだらけの庭の真ん中に井戸がある。
その井戸が、
その井戸から、
何かが這い出してくる。
首のない、男だ。
一人ではない、何人も。
私は足元に転がっていた首を抱え
逃げ出した、男達が追ってくる。
首を返せとばかりに追ってくる。
私は逃げる。
この首を返してしまえば、
また女は首を切らねばならぬ。
泣きながら、切らねばならぬ。
どれだけ走っただろう。
足が縺れて倒れこむ。
首のない男達の手がぬうと伸びてくる。
…やめてくれ!
見慣れた天井だった。
夢の中で走っていた分と同じだけ
息はあがり、きれていた。
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