2章
「へぇ、それじゃあ君達はこの特異点を解決するためにやって来たんだ」
そうヴィカルナは人当たりの良い笑みを浮かべながら言った。
ドゥリーヨダナと違って髭がないせいか、顔の造りは同じであっても幾らか年若い印象を受ける。そして表情は彼の長兄よりも大人しい。良くも悪くも、ドゥリーヨダナは喜怒哀楽がハッキリ顔に出るタイプである。率直に言って顔がうるさい。
そんな彼の姿を観察しながら、立香は先程のあまりファースト感のないファーストコンタクトに思いを馳せていた。
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「――アーチャー、ヴィカルナ。百王子の一人で――「ヨ、ヨダナの弟さん!?」――ああ、兄上のこと知ってるんだ」
思わず叫んだ立香に、彼は少し驚いた様子を見せるもそのまま話を続けていく。
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