出会い あんまりにも可哀想だと思った。
その知らせを聞いたとき、私はもっと引き止めておけばよかったと後悔した。西の地区で大規模火災が発生して、全面的に立ち入り禁止。元々日が落ちるまで人が少ない地区だった。それでも命からがら逃げてきた人を政府のもの達が保護している。
その中に見知った影がないか探した。ない。立入禁止となった地区から離れようと走る人々を押しのけながら、あたしはその地区への向かった。あの子は走るのが苦手だ。短距離走でも長距離走でもいつも最下位だったし、平坦な道でも躓くような子なのだ。逃げ遅れたに違いない。
燃え盛る家屋は轟音と共に焼け落ちる。でも、耳をすませば、怒号と金属がぶつかる音が聞こえてくる。あたしはこれがなんなのか知っている。歴史修正を図り、あたし達がいる歴史を壊そうという勢力がいて、この地区にはそれらから歴史を守る人がいた。これは、その敵対勢力に直接兵を送り込まれたのだ。
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