オタレイ①「レイン」
熱を帯びた声に、肌が粟立つ。自分の意思に反して無防備に飛び出した耳を、レインは両手で隠そうとした。が、それは叶わなかった。両手首を一纏めにされて、頭上に押さえつけられた。
魂現を晒すことは、斑類にとっては恥ずべきこと。裸を晒すようなものだ。それなのに、無理やり引きずり出された。恥ずかしさと苛立ちの相反する感情がレインの心に渦巻いた。
「離せ!」
必死に抵抗しても、そんなものは軽く押さえ込まれる。重種のオーターの前では、軽種の自分は無力だということを改めて理解させられる。けれど、それでも抵抗せずにはいられなかった。
眼鏡の奥で細められた眼差しが、縋るように向けられる。やめてくれ、とレインは思った。そんな目で見ないでくれと。
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