雨がふっていたってかまわない ギュッと急旋回をしながらもオーバーランせずに着地を決められたのは、リザードンの器用さか、それともこの家に来ることに慣れてきたのか、どっちだろうかとダンデは一瞬考えた。
しかし背後でポツポツ、ポツポツと雨音がし始めれば意識はそちらに向く。ダンデが振り向く間に、音はザーザーと重たいものになった。軒下にいるとはいえしずくの一部はウッドデッキの上で跳ね回り、ブーツを濡らす。
「降られる前に間に合ってよかったな」
「ばぎゅっ」
ほんとうによかった! と言うようにリザードンは一鳴きし、早く中に入ろうと言うようにぐるぐると喉を鳴らした。その鼻先はベランダの鍵が入っている胸ポケットを探っているので、ダンデはぶつかる鼻息がこそばゆくてたまらなかった。
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