言いたいな。「エマ、すきだよ」
すき、好き、大好きだ。口にすればするほど陳腐になっていくようでもどかしい。それでも、彼女への思いをこれだけ的確に表現できる言葉はそれしかないのだ。だから、仕方ない。言い訳でしかないのは自分が一番分かっているから。
そう思って、ノーマンはひとりうっそり微笑んだ。どうかこの言葉が彼女の鼓膜を揺らし続けますようにと、ほの暗い願いを胸に、今日も彼女の耳元で囁く。吐息がかかるのか、言葉を送る度に彼女の肩がピクリと跳ねるのが何だか可愛らしくて、つい何度も繰り返してしまうのだが。
「エマ……」
「ん……」
そっと頬に手を添えてこちらを振り向かせると、彼女は抵抗することなく素直に従った。眠気のせいだろうか、いつもより潤んで見える瞳を見つめながら顔を寄せていく。
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