「奪う者、奪われる者」某年某月
南ザナラーンの地にある商神ナルザルの片、ナルの祠での出来事だった。
商神ナルザルを守護神とする都市国家ウルダハでは、ナル・ザル教団から派生したカルト宗教団体が水面下で活動していることが問題となっていた。
富裕層の信者が多く占める彼らは生を司るナル神を厚く信仰しており、より富と幸福を、そして不老長寿を願っていた。
ひっそりと活動していたこのカルト教団は、ついに神降ろしという禁忌を犯してしまった。
神降ろしには大量のクリスタル(エーテル)と信者の祈りの力が必要であったため、危険行為とされていたためだ。
ある雷雨の日、カルト教団はナルの祠で神降ろしの儀式を執り行った。大量のクリスタルと信者の祈り、そして神へ捧げる生贄とされる生きた少年少女とともに。
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