失敗っていうのは、急に全部が台無しになって、気づいたらもう終わってしまってるんじゃない。「失敗」というひとつのフェーズが始まる瞬間に、神様が時間の流れを遅くする。
目の奥に、まぶたの裏に、頭の中に強く強く焼き付けて、ぼくがずっと覚えているように。そんなことしなくても痛いほど覚えてるのに。
今日だってそうだ。
ロッキーが強く目を瞑るのを見た。スカイが身体を小さくして身構えるのを見た。たまごの殻がみんなの柔らかい毛にぶつかって、割れて、みんなの毛なみを汚すのを、ずっと目を逸らせずに見ていた。神様はぼくの耳元で「君の責任だからね」と囁いた。
長いスローモーションの間、ぼくは絶え間なくぼくを嫌いになり続けた。夢だったらいいのに。さっきまであんなにケーキのいい匂いの中にいて、ポーターさんのお手伝いができて楽しかったのに。
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