癒しというよりご褒美『先生、これ』
ふらりと監督室にやって来た深津は、カラカラと今は使われていない机から勝手知ったるとでも言うようにデスクチェアを転がしてくる。
そのまま堂本のデスクの横に椅子を寄せて座れば、ポケットから取り出した紙に同じくポケットから取り出したペンで何かを描き始める。
『なんだ…それは』
『アニマルセラピーですピョン』
『え?』
『アニマルセラピーですピョン』
聞こえていなかったわけでは無い。ただ、もう一度聞き返すことも、動物だったのか、と言う事もやめておいた。
『どうしたんだ?いきなりアニマルセラピーだなんて』
着々と紙の上で増えていく恐らく動物であろうものたちを覗き込みながら、堂本が尋ねれば、深津は顔を上げぬまま口だけを開いた。
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