気づいた。オレはなぜだかその表情の意味を分かってしまったから、一歩だけ、彼を守るように前にでた。
「ワタルさんには本当によくしてもらっていて」
オレの名を口にした、隣に並ぶ14歳の華奢なこどもが感情を無にして薄っぺらく微笑んでいる。
話し相手は、物事の表面しか知らないようなリーグのお偉いさん。仕事上しかたのないことだが、この上司とはなるべく口を聞きたくないのだ。オレは今、不満が全身から漏れ出ていることだろう。
しかし、グリーンからはそんな気配がちっとも感じられなかった。子どもに接待させるんじゃない、あのクソジジイ。
話が終わって、苦手なやつが見えなくなれば、グリーンは大げさに伸びをした。そして疲れた、と一言漏らす。
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