故剑情深『南陽将軍、急な公務のお願いですが、聞いていただけますか』
霊文からの通霊に、風信は眉を顰めた。
「ああ、かまわないが…」
『ありがとうございます。場所は西方の南部、鄙奴が発生している模様です』
「西方の南部? べつにかまわないが…奇英はどうしたんだ?」
西方は奇英殿下ー権一真の領地だ。
『それがつかまらないのです。管轄が近い玄真将軍にも打診しましたが、彼も公務で手が離せないということで、あなたに連絡するよう勧められたので……管轄外で法力が制限されるでしょうから、できれば南陽将軍自ら行っていただくのが良いかと思いますが』
「あいつは俺をなんだと……ああ、まあ、わかった。俺が行こう」
風信はため息と共に頷いた。
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