世界線が同じか分からないこうなればいいな程度の話「あの、小次郎先生」
「もう違うだろ」
そうだけど。
だって慣れないんだ、ずっと先生って呼んできたから。
「…小次郎さん」
「なんだ?イノリ」
「あの。…見づらい、です。映画」
「そうか?じゃあ見るの止めて別のことするか」
「いえ!あの、見ます」
背中から抱きしめてくる先生の腕の力が少し強くなって、僕は焦って否定した。
背後で小次郎先生が笑っているのがわかる。
ああもう。
小次郎先生は僕が卒業して開き直りすぎだと思う。
元々は僕が推していたハズの関係は僕の卒業と共にあっさりと逆転していて。
僕はこうやって翻弄される。
おかしいな、僕の方が先に好きになったのに。
「イノリはこういう話が好きなのか?」
「こういうのも嫌いじゃないです。だけどこの映画は夜ノ介先輩がおすすめしてくれたんですよ」
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