誕生日「きゃあぁ!」
「義姉さん」
甲高い悲鳴に扉を開けると、粉をかぶって真っ白になったカタリナがけほけほと咳き込む。
「大丈夫? 一体何をしていたの?」
「え? えと、あははは……」
布巾で顔を拭ってあげてから水を差し出すと、飲み干し一息ついたカタリナはギクリと身を強張らせて誤魔化すように笑う。
「まさか、おやつが足りなくて自分で作ろうなんて言うんじゃ……」
「違うわよ! これはキースの誕生日……うぐっ!」
疑惑を滲ませじとりと見つめれば、焦って口を滑らせたカタリナから飛び出した自分の名前に、キースはきょとんと瞬いた。
「僕の誕生日?」
「~~そうよ、明日はキースの誕生日でしょ? だから、ケーキを作ろうと思ったんだけど、アンが無理だって言うから、それならクッキーならって思って」
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