re-birth ③(終)「僕が、あんたを?」
サギョウはまた笑った。だが今度は、けらけらとはしていなかった。
無理矢理な、口の端だけを引き上げた、いびつな笑みだった。
「あんたは僕より、たくさんのものを持っているのに?」
喉の締まった嗄れた声、それは猛毒の霧。
「お前には、そう見えるのだな」
俯いた顔を上げさせることはしない。
「だが俺には、俺の持ち得ないものを持っているお前が、眩しく見える」
俺の肩を掴むサギョウの手は震えている、それでも、決して、離れていない。
「変わる必要は無い、変えようなどと思ってもいない、お前はお前の、そのままでいい」
敷布に滴が垂れた。
「俺はもう、お前を抱かない、それでも──」
ぼたぼたと落ちる涙は、サギョウのものか、それとも──
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