モブから日和をいただく郁弥の話 ストロベリーパフェの甘い香り。カフェで一番人気のパフェを嬉しそうに口へ運び、日和は時々携帯を見る。普段からあまり携帯を触らない子だったのに、最近はすっかりコートのポケットの中に入れるようになった。ランプが光ってメールが届くと、すぐ返信出来るように。
日和の口元がひっそり笑う。こちらに気づかれないよう口を結んでいるつもりだろうけど、そんなの僕にはバレバレだ。携帯の画面にゆっくりと指を滑らせる。日和の頬が薄っすら赤く染まる。そこには一体どんな文字が綴られているのだろう。僕はひどい胸やけを感じていた。
「……昨日デートだったの?」
「あ、うん。呼び出されちゃって」
「そうなんだ。平日なのに珍しいね。会うのは休日じゃなかった?」
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