見えぬ糸の色は 赤 - -------
「夜にどこかから声がするんだ」
ヒナイチがそう告げると、露骨ここに極まれりという顔で事務所の主は顔をゆがめた。
「やめろよ、マジそういうの…急にさあ」
ホラーがあまり得手でない青年は、ブルブルと大きな体を震わせる。
「……おやおやおや。ガキンチョびびルドくんはもう降参かね? ゆうて成人として涙目になるの早ない? オバケこわこわ情けなルドくんに今すぐ改名して
「今すぐ殺すわ」
「あおり耐性なし男くんの神速暴力タイム! スナスナァ……」
「ヌー!」
「こら、やめないか!」
いつものスクラップ&ビルドを哀しく見届けてから少女は息をつく。
「まったく……まあ寮内であるし特に実害もないし私も疲れているしで、すぐさまグッスリ眠ってしまうわけなんだが」
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